見知らぬ人に殴りかかり、打ちのめされても食い下がる。
これは一人の少年の純粋な狂気と刹那の物語。

個人的評価:★★★★★★★★★☆ 90点
DestructionBabies
2016年05月21日公開/108分/日本/映倫:R15+
監督:真利子哲也
脚本:真利子哲也、喜安浩平
出演:柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、池松壮亮、北村匠海、岩瀬亮、キャンディ・ワン、テイ龍進、岡山天音、吉村界人、三浦誠己、でんでん

初見からだいぶ時間経っちゃいましたが、かなり衝撃的だったので感想書いておきます。まあ何が最高って…暴力描写ですよね。これに尽きると思います。武器を使って暴力ふるうのも好きなんですが、やっぱりね、黄色人種は素手でブン殴ってほしいんですよ!!ということで個人的には超好みな暴力でした。もう大好き。ゴツゴツした雰囲気がメチャクチャ良い。

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あらすじ

愛媛県松山市西部の小さな港町・三津浜。海沿いの造船所のプレハブ小屋に、ふたりきりで暮らす芦原泰良と弟の将太。日々、喧嘩に明け暮れていた泰良は、ある日を境に三津浜から姿を消す──。それからしばらく経ち、松山の中心街。強そうな相手を見つけては喧嘩を仕掛け、逆に打ちのめされても食い下がる泰良の姿があった。街の中で野獣のように生きる泰良に興味を持った高校生・北原裕也。彼は「あんた、すげえな!オレとおもしろいことしようや」と泰良に声をかける。こうしてふたりの危険な遊びが始まった。やがて車を強奪したふたりは、そこに乗りあわせていたキャバクラで働く少女・那奈をむりやり後部座席に押し込み、松山市外へ向かう。その頃、将太は、自分をおいて消えた兄を捜すため、松山市内へとやってきていた。泰良と裕也が起こした事件はインターネットで瞬く間に拡散し、警察も動き出している。果たして兄弟は再会できるのか、そして車を走らせた若者たちの凶行のゆくえは──
(以上公式サイトより)

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感想

「理由なき暴力」という言葉はよく聞きますが、これぞ!という感じ。カタルシスよりも生々しさ最優先のリアルな暴力に思えました。正直、ストーリーに対しての感想なんかはあまりないんですが(笑)、とにかく暴力描写が素敵。ひたすら暴力暴力暴力…。潔くて気持ち良かったですよ。

田舎でフラストレーションを溜め込んだ若者が行き場のない鬱憤を…とかいう青春モノとは違うと思いました。もっと純粋で、ほとんど自慰行為みたいな、欲望としての暴力です、たぶん。まあムチャクチャです。無意味な暴力というのか、意識的に意味を与えていないような、そんな印象がありました。暴力の直接的な動機は描かれません。

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衝動(本能?)に突き動かされる如く獲物を探して狩りをする、ほとんど獣。やりたいからやる、殴りたいから殴る。変に理由づけしたりしない。ってことなんでしょうか??

序盤、相手を求めて路地を徘徊するシーンが印象的。弱そうな中年のオッサンとすれ違ったりもしているんですが、そういうのは完全に無視だし、無差別に誰でもいいからガシガシ殴り倒すのではなく、実はしっかり相手を識別しているんですよね。女も老人も背の小さいオジサンも殴らないし、菅田将暉なんかも同じように一発だって殴られません…。理性というよりは野性の直感で相手を選んでいるようでした。

目的が何なのかよくわからない不穏な感じがずっと漂っていて、そもそも目的なんてないんだろうなあ…と感じつつも、どこに向かってんのか理解できない気味の悪さがありました。その辺の微妙な描き方は上手かった気がします。

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柳楽優弥のキャラクターは、ほとんど『ザ・ワールド・イズ・マイン』のモンちゃんですよねー。まあ、人は殺さないしレイプもしないんですが、現実味のある素手の暴力だけで物語を描いたら『ディストラクション・ベイビーズ』になるのかなと。特に暴力の無軌道性が似てますね。顔も似てるかも(笑)。

破壊の程度は比べものにならないくらい小規模だけど、不道徳な行為に対して感情移入(しない人も多そうですが)しちゃう点とか、二人組で女をテキトーに拉致っちゃう感じなんかも影響がありそう。あとは、『ノーカントリー』のシガーとか『時計じかけのオレンジ』のアレックスにも近い人物像だったような気がするし、『悪い男』なんかも思い浮かびました。具体的にいろいろ意識して撮ってるんじゃないかなー。気になります。

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で、ひょんなことから相棒になるのが北原裕也(菅田将暉)。第一印象から最弱&卑怯な弱腰で、口は達者だけど自分では何も出来ない高校生。セリフでも言っちゃってますが、獣使いですよねー。非力でヘナチョコな若者が力を手にするとこんなゲスな事態になるのかと…。コイツを不快に感じる人は多そう。

菅田将暉「うわっ、エグいエグい、エグエグエグい、エグエグエグエグ…」

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超ハマり役でした。ナイスキャスティングだッ!

ゲスでよかったですよ。純粋なゲス野郎というか、救う余地のないクズ野郎というか、コイツが生き延びていたら本気で胸糞悪い映画になっていたような気がします。「死ね!」と思う瞬間が10回くらいあって…でも最終的には無惨に(ってほどでもないけど)死んだので清々しかったですね。柳楽優弥のほうには愛着を感じることが出来たのですが、菅田将暉にそれはありませんでした。ムカつく顔にムカつく髪形、なにもかもが癇に障るような最悪なキャラ。調子ノリまくってるコイツはマジで大嫌いになりましたよ。だからこそ良かった。こんな奴はアッサリ事故って野たれ死ねばいいんです。ジワジワ溜めずにわりと突発的にバタリと死んじゃうのはなんとなくニューシネマっぽくて好き。

こんな成長は認められないかもしれませんが、女しか相手にできなかった菅田将暉も終盤にはハゲおやじをしっかり殴り倒せるようになりました。しかし、結局は最後まで柳楽優弥に殴られる価値もない男。

一貫した小物ゲス感が良い。

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身ぐるみ剥がされるシーンはレイプで処女を奪われた乙女状態で爆笑。店から出ていく柳楽優弥は風呂上りのオッサンみたいで楽しいし、細かいですが好みの描写が多い映画でした。けっこう笑えましたよ。

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おっぱいもみもみ………許せんッ!!死ね!死ね!(死んだから許す)

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小松菜さんは、魅力的な女性としては描かれてませんでした。性悪です。バカみたいな万引きするし、同僚のチャイニーズには態度サイアクだし…。田舎で水商売してそうなリアリティはありました…。体臭キツそう。なりゆきで拉致されて菅田将暉に手マンされちゃう役(?)なんですが、状況が状況なら誰でも人を殺すってことを日常のすぐそばで描いてくれた感じがしました。

良かったです。なんとなく性格悪そうだし役にも合ってたと思いますよ!

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どうでもいいけどこのオッサンの顔イイ!血の感じも好み!

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ようやく村上虹郎の顔と名前を覚えました(*´▽`*)

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一番好きなファイトシーンはVS三浦誠己(組の若頭)戦。初戦はクロスカウンターでノックアウトされた柳楽優弥でしたが、再戦して同じ技で相手をKO!まあ、地味ですが、グッときました。勝ったら喜ぶんですよね、わかりやすい感情表現はここだけだったかも!

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暴力描写を影で表現するのもなかなか良かった。血しぶきも飛ぶ。

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この自由人っぷりに爆笑。愛着を感じ始めたのはここからかも…。

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エピローグも商業主義的なまとめかたとはちょっと違っていて、野蛮で尖った映画という印象は最後まで変わりませんでした。かといって暴力を肯定するという感じでもなくて、比較的余白の多い映画だと思います。主人公のセリフがほぼ無い(5言くらい)ので何かと考えさせられました。

というわけで、いろいろと面白かったんですが、やっぱり潔い暴力の描き方と柳楽優弥の存在感だけでもう傑作!と言いたくなるくらいに素晴らしかった。セリフの少ない難そうな役を顔面力&存在感で見事に演じきったと思います。眼光がギラギラしていて、そこが一番の魅力かなあ…。

かなり薄っぺらな感想ですが、個人的には高得点。次作も期待したいです。

mariko

余談ですが、真利子哲也監督の風貌が激変していて驚きました…。


↑予告


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