主人公が好きになれませんでした。なので、あんまり楽しめず…。
『あの花』は一通り見たことがあるだけで、熱心なファンじゃない人の感想です。
個人的評価:★★★★★☆☆☆☆☆
KokorogaSakebitagatterunda
2015年9月19日公開/119分/アニメ/日本/映倫:G
監督:長井龍雪
声の出演:水瀬いのり 内山昂輝 雨宮天 細谷佳正 藤原啓治 吉田羊

<あらすじ>
主人公・成瀬順は幼い頃に女性とラブホ(お城)から出てくる父のことを偶然目撃してしまい、帰宅するとそのことを馬鹿みたいに母へと報告。それがきっかけで父は家を出ていってしまう。去り際、父は順に向かって「全部お前が悪い」と言い残していく。
そして、順は玉子の妖精に”喋るとお腹が痛くなる”呪いをかけられてしまう…。

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冒頭からよく喋る幼女がへらへらやっていて、声とか動きとかいろんな部分に拒否反応…までいかないけれど見ているのがすこしつらかったです。
時が経ち、玄関の表札が変わり、高校生になった順が空を見上げて…からのタイトルへの流れは好きでした。この場面、無音なのがよかった。もう声を出すことはなくなったのだと思うと、なんとなく無暗に応援したくなるような気持ちにもなりました。

不倫した父との別れ方が映画全体の中で最も悪なシーンだと思うのだけど、結局出てきたのは一度きり。その後これになぜか触れません(父の顔が頭に浮かんだりはするのだけど)。クライマックスの<成瀬順ラブホ毒吐きシーン>でもここにはまったく触れられず。母への不満も一言もない。それだから最後までスッキリしませんでした。罵詈雑言というほど汚らしい言葉も出ないし、全部吐き出している感がなさすぎます。【心が叫ぶ】ってそんなことなのかとガッカリ…(心の中カラッポすぎる)。これ以降は完全に気持ちが引いた状態で傍観。

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指だとガンガン喋る成瀬順

玉子に言葉を封印されたという設定も、実際は主人公自らが喋らないようにしているだけで、呪いをかけられた被害者みたいな振舞いが途中から嫌になりました。
それでも一生懸命ジェスチャーしたり、ケータイを使ってのコミュニケーションなんかを取っていて、人と接したいのだけど、できるだけ会話せず…というムリのあることをやっている。
ものすごく歯痒くなる。会話のない人間関係なんて無茶すぎる。
結局、それもわりとあっさり解決(?)。ドン底まで突き落とすようなことはせず、映画終盤は主人公に都合がいいだけの救済ばかりに思えました。ラストの告白も中途半端さしか残らなかった。あの中途半端さが現実っぽいといえばそれはそうなのかもしれないけれど…面白くはない。
所謂ぼっちのコミュ障(というかメンヘラ)が題材ということで主人公へ共感する部分もあるだけに鬱陶しくもなりました。ところどころ自分を見ているような感もあり。
あの歳までほとんどずっと声を出さずに生活していたらしいのだけど、それもちょっと説得力がない。今までどうやって授業を受けていたのだろうと思ってしまう。何年間もずっと無言で学校生活を過ごせるのがちょっと信じられない。ひきこもっていたのなら納得もできるけれど、そうでもないらしい。喋らないで集団の中に孤立しているほうがよっぽどつらいだろうに、当人的には父への贖罪の意味もあったんだろうか(不幸の根源は父なのに)。

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告られてキョドる成瀬順

ミュージカル当日になって学校に来ない順(前日にいろいろありました)。
この辺からこの映画が、というよりは主人公が嫌いに…。
周りの人間にしてみれば最悪な状況なのに、これにクラスメイトたちが妙に優しいのも謎でした。イイ人しかいない。迷惑かけられても「がんばってるから」とかそういう理由(たぶん)で全部許してあげるのは、ちょっとわからない。もっと怒ったり嫌悪したりしてもいいのに、そういう感情は排除してハッピーな感じでまとめているところがすごく嘘くさくて、いかにもJPOPみたいで気持ちが悪くなる。吐きそう。戻ってくると皆「よかったよかった」言っていて、不自然に温かい。主演二人が遅刻して舞台に登場してもなぜだか全員が満足気。客も演者も皆感動していて気味が悪くなってくる。真面目に登校しているクライスメイトのほうがよっぽどかわいそうなのに、そっちはほとんど無視しているように思えた。序盤で批判的な視線を向けられるシーンも何カ所かあるけれど、これもすごく軽い。
こういう話をやるのならドン引きするような描写をひとつくらい入れてほしかった。不快な描写を避けるのならこんな痛々しい話は初めからやらなければいいと思ってしまう。
「世界は思ったよりキレイなんだ」というラストのセリフがこの映画の全部な気がした。ここに共感できないとつらい。

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ミュージカル『青春の向う脛』の大団円


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