癒されます。大好きです。小林薫が存命する限り、ずっと続いてほしいなあ。
本作は良くも悪くもテレビシリーズと何も変わらない印象。
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆
Shinya Shokudo
2015年1月31日公開/119分/日本/映倫:G
監督:松岡錠司
出演:小林薫 不破万作 綾田俊樹 松重豊 安藤玉恵 オダギリジョー

<あらすじ>
ネオンの光がまばゆい繁華街。その路地裏でマスター(小林薫)が営む小さな食堂「めしや」に、誰かが骨つぼを置き忘れていく。さまざまな憶測が飛び交う中、新しいパトロンを探している最中に隣り合わせになった年下の男に惹かれるたまこ、毎晩のように店に現れては常連客のあけみに会いたいと騒ぐ謙三、無銭飲食したのが縁となって住み込みで働くことになったみちるなど、クセありワケありの者たちがマスターの作る素朴な料理に舌鼓を打ちながら涙と笑いに満ちたドラマを繰り広げていく。
(以上シネマトゥデイより)

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「いらっしゃい。いつものかい?」 マジでかっこいいです。

秋からは第4部も始まるそうで、『続・深夜食堂』も公開予定。
久々に観直したので、感想書いときます。
原作漫画もドラマ版も大好きです。
実力派俳優総出演のシリーズになりつつありますね。

今回の映画は、オムニバス形式での三部構成となっています。
(「ナポリタン」「とろろご飯」「カレーライス」)

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「ナポリタン」(20分)
ゲスト:高岡早紀 柄本時生
パトロンが死んで文無しの妾とイイ仲になるが、転がり込んだ遺産によって振られてしまう男の話。趣味のプラモデルをなぜか破壊されるカワイソウな柄本Jr。

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「とろろご飯」(50分)
ゲスト:多部未華子 渋川清彦
男に捨てられてネカフェ難民になっていた女だったが、食い逃げが縁となりマスターの腱鞘炎が完治するまで「めしや」で働けることに…。結局、男を振る話。

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「カレーライス」(45分)
ゲスト:筒井道隆 菊池亜希子
復興ボランティアで優しくしてくれた女に恋してしまい、プロポーズ。東京まで追いかけて来たが…やっぱり振られる男の話。震災で妻を亡くした傷痕物語。

カッコ内はクレジットを除いた大体の分数です。
3つとも結末は失恋の話でした。
振られる男と振る女ってのは共通しています。
ですが、哀しいのは男じゃなくて実は女のほう…というのは松岡監督の感覚によるものなんでしょうか。
個人的に一番好きだったのは「とろろご飯」ですね。
消去法的な考えになってしまいますが、最初の「ナポリタン」は物足りないし、「カレーライス」は重すぎ!ということで、「とろろご飯」が一番好きでした。
その感想だけちゃんと書いておきます。

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まず多部ちゃんの登場シーンなんですが、ここがめちゃくちゃいいです。
彼女は料理人を目指して東京に出てきたのですが、男に金を持ち逃げされてしまい、故郷に帰ることも出来ずにネカフェ難民となっている女性です。
ネカフェのドリンクバーで氷をぼりぼり食いながらたぶん水分で空腹を満たそうとしているんですけど……ちゃんと臭そうなんですよね。
その風貌と挙動などからプーンと香ばしく匂ってきます!
見た瞬間に「臭そうな女だな、こいつ…」と思えるような説得力がありました。
後々わかるんですけど、この人臭いんですね、風呂入ってないから。

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初日の仕事終わりにマスターから「風呂に行ってきなよ」と一言。

それからいろいろあって「めしや」で彼女を雇うことに…。
ここは多部未華子だったから話が成立したような感じがしました。
手を痛めているという口実はあっても、店の二階に住まわせて雇うってのは、結局のところマスターの【情】に寄るものがデカいと思うんですよね。
たとえば、これが二階堂ふみだったら絶対にダメだったと思います。
なんかマスターの下心的なものが垣間見えてしまいます。
なので、ここだけは絶対に色気の薄い女優じゃないとダメでした。
ここに売れ線のアイドルを起用すれば、きっとそれなりに大ヒットしますよ。
でも、あえてそうせずに、『デカワンコ』の多部未華子を配した点に松岡錠司の心意気を感じましたよ!ぼくは!
(知らない人は「デカワンコ たべちゃん」でググってください)お風呂入れてよかったね~!と優しい気持ちになれました。

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右下は『超・悪人』『超・暴力人間』等の主演でおなじみの宇野祥平さん。

そしてマスターの元カノらしき料亭の女将さん、重鎮・余貴美子が登場。
もうこの人、威圧感が凄いです。
場にいるだけで緊張します。
いまだに学校のキビしい先生イメージが抜けないです…(ぼくだけですかね)。
デカワンコは初対面の余貴美子に見つめられて、もじもじしながら意味不明な行動を取りますが、ここはたぶん笑いどころ。
(緊張してチンコ触っちゃうみたいな原理ですかね)

マスターの腱鞘炎が治ってからは「めしや」を辞め、余貴美子の料亭でお世話になることとなる多部未華子。
もちろんその前に昔の男とキッチリ訣別します。「とろろご飯」のラストでは、おばあちゃんにもらった手紙を読むシーンがあるんですが、ここは感動しました。手紙っていうかハガキなんですけど。
文面を声に出して読むなんてバカなことはしません。
けっこう控えめに文面が数秒映る程度です。
泣く寸前くらいまではガッツリ多部未華子を映し、涙を流したであろう瞬間は後ろ姿のショットでした。このときは中原俊の映画で流れてるみたいな音楽(伝わりづらくてすいません)が薄めにかかってました。優雅な感じ(?)です。

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いろいろ書きましたが、この映画は【骨壺】の映画です!!
ずーっと骨壺がまとわりついてきます。
つまり<死>がついてまわるような話です。
あれは…なんなんだろう?という疑問が常に頭の中にある感じ。
オムニバス形式の3つの話の合間合間にこの骨壺が何度か現れます。

<骨壺のあらすじ> カッコ内は開始からの分数。骨壺を店の隅で発見(6分)
骨壺を交番に届ける(11分)
骨壺を引き取りに行く(24分)
骨壺を店の二階に放置(---)
骨壺を拝む(70分)
骨壺と一緒に酒を呑む(100分)
骨壺に酒をぶっかける(102分)
骨壺の蓋を開けたら遺灰じゃなくて、土(103分)
骨壺を寺で供養してもらう(106分)
骨壺の主・田中裕子が登場し、唐突に土下座!(108分)
骨壺を置いていった経緯をすべて解説してくれる田中裕子(110分)
骨壺の中身は遺灰じゃなくて、甲子園の土でした(112分)
カチワリイカガスカァッ!カッチワリイカガスクァ~ァッ!(113分)

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なぜだか顔を見ただけで泣きそうになる…。

序盤に登場した【骨壺】が、ラストできっちりとオチをつけてくれます。
ラスト10分くらいで田中裕子がやっと出てくるんですが、なんか最後の最後で全部持ってかれた感がありました。
ほとんど彼女の一人舞台のような5分間。
めちゃくちゃ芝居染みた言い回しなんですけど、クサいとかは一切ありません。見入ってしまいます。去り際もさらっとしてて、超カッコイイ。
なんかハロウィンをディスってた感じもしましたけど。
すごくスッキリしましたよ!

田中裕子が出てきただけでテンションが上がります。たぶんただのファンです。そして小林薫と共演ってところも、なんか、いいですよね。『もののけ姫』を死ぬほど観ていた中学時代とか思い出しました(無駄に)。
小林薫を食える大女優ってあんまりいないと思うんですけど、ラストでガツンとやられた感じがしました。
この映画(ドラマ)って、もちろん話も良いんですけど、役者の演技を堪能する!みたいな割合が大きいと思うんですよね、きっと。

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『森崎書店の日々』と『自縄自縛の私』が同時に来店。胸が潰れそうでした。

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今まで見た谷村美月で一番好きなキャラ。今後も継続してほしい難波っ子。

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『共喰い』の殴ってた人と殴られてた人に挟まれるマスター。

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今回あまり活躍しなかった常連たち。

最後に、ぼくが『深夜食堂』映画版に期待したことなんですけど、希望としては「地上波でやれないことをやってほしい」ということでした。
店の常連客はヤクザやゲイやストリッパーなどの所謂アウトローな方たちです(一般の人もいますが)。
なので、個人的には性と暴力の人情話が見たかったです。
そういった部分は本作で描かれなかったと思います。
時期的に震災と被災者を扱うほうが重要だったのかも知れません。
「そうだったらいいなあ…」程度の願望なので、そうじゃなくても、残念!とは思わないんですけど…。次回作は、できればエレクト大木とボッキー田中のような中学生が喜びそうな話が観たいなー。
あくまでも個人的な、ただの願望です。
『続・深夜食堂』には濡れ場俳優・池松壮亮が出演予定なので、なにかが起こることを期待します…。

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本作ではマスターの住居が明らかになりました!(古アパートの二階)

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原作の漫画も大好きなのでオススメですよ!