邦画しか観ません。

日本映画の感想文。基本的に原作未読で在宅鑑賞。ネタバレしてます!

ドラマ

『ディストラクション・ベイビーズ』感想。(R15+)

見知らぬ人に殴りかかり、打ちのめされても食い下がる。
これは一人の少年の純粋な狂気と刹那の物語。

個人的評価:★★★★★★★★★☆ 90点
DestructionBabies
2016年05月21日公開/108分/日本/映倫:R15+
監督:真利子哲也
脚本:真利子哲也、喜安浩平
出演:柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、池松壮亮、北村匠海、岩瀬亮、キャンディ・ワン、テイ龍進、岡山天音、吉村界人、三浦誠己、でんでん

初見からだいぶ時間経っちゃいましたが、かなり衝撃的だったので感想書いておきます。まあ何が最高って…暴力描写ですよね。これに尽きると思います。武器を使って暴力ふるうのも好きなんですが、やっぱりね、黄色人種は素手でブン殴ってほしいんですよ!!ということで個人的には超好みな暴力でした。もう大好き。ゴツゴツした雰囲気がメチャクチャ良い。

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あらすじ

愛媛県松山市西部の小さな港町・三津浜。海沿いの造船所のプレハブ小屋に、ふたりきりで暮らす芦原泰良と弟の将太。日々、喧嘩に明け暮れていた泰良は、ある日を境に三津浜から姿を消す──。それからしばらく経ち、松山の中心街。強そうな相手を見つけては喧嘩を仕掛け、逆に打ちのめされても食い下がる泰良の姿があった。街の中で野獣のように生きる泰良に興味を持った高校生・北原裕也。彼は「あんた、すげえな!オレとおもしろいことしようや」と泰良に声をかける。こうしてふたりの危険な遊びが始まった。やがて車を強奪したふたりは、そこに乗りあわせていたキャバクラで働く少女・那奈をむりやり後部座席に押し込み、松山市外へ向かう。その頃、将太は、自分をおいて消えた兄を捜すため、松山市内へとやってきていた。泰良と裕也が起こした事件はインターネットで瞬く間に拡散し、警察も動き出している。果たして兄弟は再会できるのか、そして車を走らせた若者たちの凶行のゆくえは──
(以上公式サイトより)

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感想

「理由なき暴力」という言葉はよく聞きますが、これぞ!という感じ。カタルシスよりも生々しさ最優先のリアルな暴力に思えました。正直、ストーリーに対しての感想なんかはあまりないんですが(笑)、とにかく暴力描写が素敵。ひたすら暴力暴力暴力…。潔くて気持ち良かったですよ。

田舎でフラストレーションを溜め込んだ若者が行き場のない鬱憤を…とかいう青春モノとは違うと思いました。もっと純粋で、ほとんど自慰行為みたいな、欲望としての暴力です、たぶん。まあムチャクチャです。無意味な暴力というのか、意識的に意味を与えていないような、そんな印象がありました。暴力の直接的な動機は描かれません。

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衝動(本能?)に突き動かされる如く獲物を探して狩りをする、ほとんど獣。やりたいからやる、殴りたいから殴る。変に理由づけしたりしない。ってことなんでしょうか??

序盤、相手を求めて路地を徘徊するシーンが印象的。弱そうな中年のオッサンとすれ違ったりもしているんですが、そういうのは完全に無視だし、無差別に誰でもいいからガシガシ殴り倒すのではなく、実はしっかり相手を識別しているんですよね。女も老人も背の小さいオジサンも殴らないし、菅田将暉なんかも同じように一発だって殴られません…。理性というよりは野性の直感で相手を選んでいるようでした。

目的が何なのかよくわからない不穏な感じがずっと漂っていて、そもそも目的なんてないんだろうなあ…と感じつつも、どこに向かってんのか理解できない気味の悪さがありました。その辺の微妙な描き方は上手かった気がします。

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柳楽優弥のキャラクターは、ほとんど『ザ・ワールド・イズ・マイン』のモンちゃんですよねー。まあ、人は殺さないしレイプもしないんですが、現実味のある素手の暴力だけで物語を描いたら『ディストラクション・ベイビーズ』になるのかなと。特に暴力の無軌道性が似てますね。顔も似てるかも(笑)。

破壊の程度は比べものにならないくらい小規模だけど、不道徳な行為に対して感情移入(しない人も多そうですが)しちゃう点とか、二人組で女をテキトーに拉致っちゃう感じなんかも影響がありそう。あとは、『ノーカントリー』のシガーとか『時計じかけのオレンジ』のアレックスにも近い人物像だったような気がするし、『悪い男』なんかも思い浮かびました。具体的にいろいろ意識して撮ってるんじゃないかなー。気になります。

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で、ひょんなことから相棒になるのが北原裕也(菅田将暉)。第一印象から最弱&卑怯な弱腰で、口は達者だけど自分では何も出来ない高校生。セリフでも言っちゃってますが、獣使いですよねー。非力でヘナチョコな若者が力を手にするとこんなゲスな事態になるのかと…。コイツを不快に感じる人は多そう。

菅田将暉「うわっ、エグいエグい、エグエグエグい、エグエグエグエグ…」

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超ハマり役でした。ナイスキャスティングだッ!

ゲスでよかったですよ。純粋なゲス野郎というか、救う余地のないクズ野郎というか、コイツが生き延びていたら本気で胸糞悪い映画になっていたような気がします。「死ね!」と思う瞬間が10回くらいあって…でも最終的には無惨に(ってほどでもないけど)死んだので清々しかったですね。柳楽優弥のほうには愛着を感じることが出来たのですが、菅田将暉にそれはありませんでした。ムカつく顔にムカつく髪形、なにもかもが癇に障るような最悪なキャラ。調子ノリまくってるコイツはマジで大嫌いになりましたよ。だからこそ良かった。こんな奴はアッサリ事故って野たれ死ねばいいんです。ジワジワ溜めずにわりと突発的にバタリと死んじゃうのはなんとなくニューシネマっぽくて好き。

こんな成長は認められないかもしれませんが、女しか相手にできなかった菅田将暉も終盤にはハゲおやじをしっかり殴り倒せるようになりました。しかし、結局は最後まで柳楽優弥に殴られる価値もない男。

一貫した小物ゲス感が良い。

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身ぐるみ剥がされるシーンはレイプで処女を奪われた乙女状態で爆笑。店から出ていく柳楽優弥は風呂上りのオッサンみたいで楽しいし、細かいですが好みの描写が多い映画でした。けっこう笑えましたよ。

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おっぱいもみもみ………許せんッ!!死ね!死ね!(死んだから許す)

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小松菜さんは、魅力的な女性としては描かれてませんでした。性悪です。バカみたいな万引きするし、同僚のチャイニーズには態度サイアクだし…。田舎で水商売してそうなリアリティはありました…。体臭キツそう。なりゆきで拉致されて菅田将暉に手マンされちゃう役(?)なんですが、状況が状況なら誰でも人を殺すってことを日常のすぐそばで描いてくれた感じがしました。

良かったです。なんとなく性格悪そうだし役にも合ってたと思いますよ!

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どうでもいいけどこのオッサンの顔イイ!血の感じも好み!

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ようやく村上虹郎の顔と名前を覚えました(*´▽`*)

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一番好きなファイトシーンはVS三浦誠己(組の若頭)戦。初戦はクロスカウンターでノックアウトされた柳楽優弥でしたが、再戦して同じ技で相手をKO!まあ、地味ですが、グッときました。勝ったら喜ぶんですよね、わかりやすい感情表現はここだけだったかも!

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暴力描写を影で表現するのもなかなか良かった。血しぶきも飛ぶ。

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この自由人っぷりに爆笑。愛着を感じ始めたのはここからかも…。

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エピローグも商業主義的なまとめかたとはちょっと違っていて、野蛮で尖った映画という印象は最後まで変わりませんでした。かといって暴力を肯定するという感じでもなくて、比較的余白の多い映画だと思います。主人公のセリフがほぼ無い(5言くらい)ので何かと考えさせられました。

というわけで、いろいろと面白かったんですが、やっぱり潔い暴力の描き方と柳楽優弥の存在感だけでもう傑作!と言いたくなるくらいに素晴らしかった。セリフの少ない難そうな役を顔面力&存在感で見事に演じきったと思います。眼光がギラギラしていて、そこが一番の魅力かなあ…。

かなり薄っぺらな感想ですが、個人的には高得点。次作も期待したいです。

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余談ですが、真利子哲也監督の風貌が激変していて驚きました…。


↑予告


『あなたを待っています』感想。

ジャスティス・フォーエバー!!
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆ 70点
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2016年09月24日公開/74分/日本/映倫:G
企画・原案・アニメーション:いましろたかし
監督・脚本:いまおかしんじ
プロデューサー:松江哲明、山下敦弘
出演:大橋裕之、山本ロザ、守谷文雄、姫乃たま、悦子ママ、佐藤宏、吉岡睦雄、速水今日子、工藤翔子、高麗靖子、テルコ、柳英里紗、相馬有紀実、中谷仁美、山下知子、寺内康太郎、松永祐樹、小川朝子、川瀬陽太

原案・いましろたかし、監督・いまおかしんじ、プロデューサー・山下敦弘!ということで、まあ超豪華なメンツです(個人的には)。しかも劇伴がオシリペンペンズで主題歌は坂本慎太郎、主演が漫画家・大橋裕之なんだから…もう観る前からツボを押さえられている感じでした。全員好きです。いつも通り前情報はあまり入れずに映画館で観てきました。公開館も少なそうですし観てる人は少なそうですね…。面白かったですよ。『山田孝之の東京都北区赤羽』の空気感が好きな人とかはけっこう楽しめると思います。


↑ちょっと独特な映画予告。

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<あらすじ>
東京の未来に危機感を覚えた主人公・西岡35歳(大橋裕之)。彼は10人の女を連れて能登の山奥へ移住することを決意する。目標額600万円を貯めるためコツコツとアルバイトを続けるフリーターの日々。しかし、ある日西岡は過労のために倒れてしまう…。合コンをゲロで台無しにしてしまったり、スナックのママに追いかけられたリ、友人に金を盗まれたり…やる気があるんだかないんだかわからない生活を続ける主人公。彼と山へ一緒に逃げてくれる女性はいっこうに現われそうにない…。そんな時、駅前で「あなたを待っています」というプラカードを首からぶら下げた裸足の女性・ヨシコ(山本ロザ)に出会うのだった…。

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西岡はヨシコに声をかけてみるが、肩を叩いたりニコニコするだけで言葉は喋ってくれない。その後、彼女をストーキングした結果、ヨシコは2歳の娘(テルコ)と二人でアパート暮らししており、夫である健太郎の帰りを待っていたことを知る。それを知った西岡は、一緒に男のことを探してあげることに…。健太郎を探しているうちに二人の仲は徐々に縮まっていく。

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テーマとなるのは”原発”とか”地震”だとか重々しいものなんですが、なんとなくのんびりした雰囲気で、想像以上にユルかった(笑)。でも、そんな独特の空気感が好きでした。熱血漢のような暑苦しさも感じなかったし、こういうオフビートな低予算の邦画って珍しいような気もします。主人公が己の正義感に突き進められて女性を救済してあげる話です。ヒロインのヨシコにはほとんどセリフがありません。なので、何を考えているのかけっこう考えさせられました。

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キャストはいまおかしんじ監督作品の常連俳優が多かったと思います。佐藤宏と吉岡睦雄(『たまもの』『かえるのうた』『たまもの』など)なんかは登場しただけで嬉しかったしテンション上がりましたねー。ひとりはスナックのママを殴り倒してビザが切れる(在日中国人)という理由で、もうひとりは西岡の金を持ち逃げしてしまい、二人とも逃亡し消えてしまう。出演したCMが当たってそこそこ売れている役者の先輩はイイ奴なんですが、誰とでもヤっちゃうセックス依存症(?)。主人公の周りにいる友人たちがクズ野郎だらけってところは面白かったし、愛着が湧くようなキャラクターばかりでした。

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飲食店の皿洗いと交通整理のアルバイトに精を出す西岡。バイト仲間にコツコツ貯めた金を持ち逃げされてしまうが、警察には届けずに泣き寝入り。さらに仲間の暴行行為の慰謝料を肩代わりしてやったりと生真面目な性格に思えました。友情に熱いという風でもないのですが、これも彼なりのジャスティスだったのでしょう。

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主演の大橋裕之さんは漫画家の方ですが、演技は魅力的だったと思います。もうすぐ地震が起こって東京は終わる、だから女を十人連れて山に逃げる!というのは…ちょっと狂信的にも思えます。それなのに憎めない存在なのは、実は行動のひとつひとつが周囲の人間を救済するためだったりするからです。不器用なりにも必死に行動する西岡の姿にはグッとくるものがありました。力強い眼力も説得力がありました。

この映画、主人公がゲロばっかり吐いてるんですよねー。要所要所で10回ほど嘔吐していたと思います。まず冒頭ファースト・ショットの登場からゲロっているし、いきなり面白かったです。合コンでのゲロ吐きも最悪で最高。それから食事のシーンも印象的で、白飯に納豆と味噌汁と海苔っていう組み合わせがすごく美味そうに見えました。「最後の晩餐」としてこういうものを選択するのは、やはりありふれた日常が最も幸福だということを言っていたのだと思います。山下監督の映画って毎回”ゲロ”と”飯”が印象的なんですが、もしかしていまおか監督の影響もあるのかなー。

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「誰かと一緒に食べるご飯は美味しい」という陳腐とも思えるそんなセリフが魅力的に映るのも役者の画力のためなのだと思いました。子役のテルコは自然な演技というか、とくにセリフもありませんでしたが、なんかドキュメンタリーみたいで好きでした。これは観終わってから知ったんですが、彼女はいまおか監督の実娘(2才)だったそうです。トークショーで「プライベートで娘の写真もビデオも撮らないから、もし亡くなっちゃっても良い思い出になると思って…」みたいなことをおっしゃっていたのが面白かったです。

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アニメーションはなんとなくテキトーで、チープで、味がありました。絵柄はいましろさんの絵だったと思います。動物の声を演じていた声優のしんちゃん(いまおかしんじ)、たかちゃん(いましろたかし)、のぶちゃん(山下敦弘)には全然気がつかなかったです(笑)。低予算であることを楽しんでいるような感じもしました。

もし東京が本当に終わるのなら、西岡の気持ちもちょっとわかるような気がします。でも、それとは逆に「人生なんていつかは終わるんだから死ぬまで楽しく過ごしたほうが得じゃない?」とも思うので、東京に残る先輩役者の言葉にも共感してしまいます。世界が終わるまでダラダラ過ごしたほうが楽しそうですしね。危険なものから目を背けて女とセックスばかりしている先輩が一番幸せそうに見えました。そういう快楽が何もなかったら、東京に居続けるのはつらいことなのかもしれません、東京に住んでいないのでわかんないですけど!

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予想してたのは山の中で女と暮らしている映画だったのですが、結局「10人の女」はひとりもゲット出来ず、秋田に着く前に映画は終わってしまいました…。ラストは道路の端でリヤカーを引いて歩く主人公のワンショット。その後、彼がどうなっていくのか見てみたかった気もします。正直、このラストには若干もやもやしてしまいました。幻のラストシーンではリヤカーに女を乗っけている構想もあったようです。いきなり都合のイイ話になっちゃいますが、そのほうが笑えて映画館を後にできたと思います。リヤカーを引いてトボトボ歩き、「邪魔だ」とでも言うように何台もの車にクラクションを鳴らされている西岡の姿を見ていると、なんだか彼の信じている考えが世間に嘲笑され、すべてを否定されたようで悲しくなりました。でも、報われないこそ心に残るんでしょうね…。

自分が信じる正義に燃えて突き進むこの感じ、すごく好きです。たとえ世間に否定されても自分が正しいと思えることを実行できるのはかっこいいと思います。惹き句にあった”ジャスティス!”という言葉の意味も観終わってから理解できた気がします。近所にキチガイ扱いされていた女性を救済することが主人公なりの”ジャスティス!”だったのだと思います…。まるで『タクシードライバー』で娼婦を救うトラヴィスのようでした。

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原作(というか元ネタ?)は『引き潮』に収録されている『不憫な女』というエピソードです。たった4ページの話なのでストーリーはほとんどありません。いましろたかしのオリジナル脚本ですし雰囲気は漫画そのままという感じ。巧い映像化だと思いました。本作はいましろたかしが主宰する映画製作会社ハリケーン企画の第一弾として製作されました。個人的に次作では『ハード・コア』の実写とか観てみたいですねー。

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<同時上映『ひとみちゃん』感想。>
二本立てだったので、ついでに感想を書いておきます。出演していた守屋さんが撮った映画(山下監督が酔った勢いで10万円を出資してくれたそうです)。山本ロザが主演のひとみちゃんを演じる10分ほどの短編作品。これは、正直よくわかんなかったです…(笑)。基本的にはひとみちゃんが部屋でダラダラしてるだけ。同居人(?)の太った小男とじゃれあってピザ食べてセックスはしてたのかなー。短すぎたのと自分の理解力不足で楽しむ前に終わってしまいました。結局、パチンコを打っていた山本ロザは姉のさとみ(一人二役)だったようで…。うーん、もう一度観てみたい。そして解説が聞きたかったです。『あなたを待っています』とは対照的に山本ロザが江戸っ子口調でガンガン喋り倒すのでそこは面白かったです。彼女の今後が気になりました。もっと長く見ていたかった…。

引き潮<引き潮> (ビームコミックス)


『聖の青春』感想。

将棋を知らない人の感想です。
個人的評価:★★★★★★★★☆☆ 80点
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2016年11月19日公開/124分/日本/映倫:G
監督:森義隆
脚本:向井康介
声の出演:松山ケンイチ、東出昌大、染谷将太、安田顕、柄本時生、鶴見辰吾、北見敏之、筒井道隆、竹下景子、リリー・フランキー

初日のレイトショーで観てきました。

あんまり期待せずに観に行ったら予想以上に楽しめました、面白かったです!一番デカいスクリーンはまだ『君の名は。』(早く終わってください)に取られていたのでちょっと小さいスクリーンで鑑賞。席は半分くらい埋まってました。苦手な余命モノでしたが、静かで熱い盤上の闘いは見応えがありました。主人公の”勝ちたいんじゃ感”が最高でしたよ。好きな映画です。原作未読。

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<あらすじ>
1994年、大阪。路上に倒れていたひとりの青年が、通りかかった男の手を借りて関西将棋会館の対局室に向かっていく――。
彼の名は村山聖[さとし](松山ケンイチ)。現在七段、“西の怪童”と呼ばれる新世代のプロ棋士だ。聖は幼少時より「ネフローゼ」という腎臓の難病を患っており、無理のきかない自らの重い身体と闘いながら、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指して快進撃を続けてきた。
そんな聖の前に立ちはだかったのは、将棋界に旋風を巻き起こしていた同世代の天才棋士・羽生善治(東出昌大)。すでに新名人となっていた羽生との初めての対局で、聖は必死に食らいついたものの、結局負かされてしまう。
「先生。僕、東京行きます」
どうしても羽生の側で将棋を指したいと思った聖は上京を希望し、相談を持ちかける。先生とは「冴えんなあ」が口癖の師匠・森信雄(リリー・フランキー)だ。聖は15歳の頃から森に弟子入りし、自分の存在を柔らかく受け入れてくれる師匠を親同然に慕っていた。
体調に問題を抱える聖の上京を家族や仲間は反対したが、将棋に人生の全てを懸けてきた聖を心底理解している森は、彼の背中を押した。
東京――。髪や爪は伸び放題、本やCDやゴミ袋で足の踏み場もなく散らかったアパートの部屋。酒を飲むと先輩連中にも食ってかかる聖に皆は呆れるが、同時にその強烈な個性と純粋さに魅了され、いつしか聖の周りには彼の情熱を支えてくれる仲間たちが集まっていた。
その頃、羽生善治が前人未到のタイトル七冠を達成する。
聖はさらに強く羽生を意識し、ライバルでありながら憧れの想いも抱く。そして一層将棋に没頭し、並み居る上位の先輩棋士たちを下して、いよいよ羽生を射程圏内に収めるようになる。
そんな折、聖の身体に癌が見つかった。「このまま将棋を指し続けると死ぬ」と医者は忠告。しかし聖は聞き入れず、将棋を指し続けると決意。もう少しで名人への夢に手が届くところまで来ながら、彼の命の期限は刻一刻と迫っていた…。
(以上公式HPより)

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29歳で夭折した実在の棋士、村山聖(さとし)の生きざまを描いた映画です。

病と闘いながら命を削って将棋を指し、「どう死ぬか、どう生きるか」に対峙した主人公・聖。彼が名人位を獲る夢を追いかけた最期の4年間を描いていました。余命を精一杯に生きる執念のようなものを感じました。「将棋で一番になるんじゃ!」って感じで熱量は凄まじかったです。生きるとは何なのかを考えさせられました…と書くと重々しくなりそうですが、そういう映画だったと思います。

全体的には静かな映画という印象が強いです。派手な演出もほとんどなく、画的にも地味だったと思います。しかし退屈さなどは感じさせず、説明的な無駄セリフを極力省いて無音で魅せるような演出は素晴らしかったと思います。ドキュメンタリーのような生々しい瞬間も何度かありました。主人公が死ぬまでを描いた所謂”余命モノ”なんですが、変に泣かせようともせずに、媚びてない感じが個人的には好きでした。

まず、最初のシーンから面白かったです。1994年、大阪。早朝、村山がゴミ置き場に転がっていて、それを見つけた作業服のおっちゃんが将棋会館まで連れて行ってあげるというもの。一般人が将棋を指す棋士たちを目の当たりにして、言葉も出ずに立ち尽くしてしまうというシーン。なんだか非現実的なものに出会ってしまったような演出が面白かったです。ここはセリフも少なめだしモノローグのようなナレーションもなし。最初のシーンで「あ、この映画好きかも…」と思えました。ゆったり流れる空気感も心地よかったです。

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村山聖は5歳でネフローゼ症候群になり、27歳で膀胱ガン発症、そして29歳で亡くなりました…。羽生との対戦成績は6勝8敗(うち1戦は不戦敗)。羽生との対局に敗れた5ヶ月後に亡くなったそうです。天才・羽生善治とほぼ互角に戦っていた棋士がいたんですね!

将棋についてはルールがなんとなく分かる程度の知識しかありません。原作も読んでいないので村山聖という人物のことは本作で初めて知りました…。羽生名人は顔と名前くらいしか知りませんでした!・・・ということで、ほぼ何も知らない状態だったんですが、ちゃんと楽しめましたよ。(将棋に詳しかったらもっと楽しめたのかも)

手術をしなければ余命はたった3ヶ月!ということが中盤で明らかになるのですが、これに対しての主人公の返しがスゴい。一刻も早く手術して金玉を取らないとマズいという状況で「麻酔しますか? 麻酔は脳が鈍るんでイヤです」と言う村山。あくまでも優先順位は将棋が第一で、「将棋が指せないなら死ぬ!」という感じでした。並々ならぬ覚悟を感じました。そして「体調の良い日なんてないんだよ…」というセリフがネフローゼ症候群という病気の壮絶さを物語っていた気がします…。映画を観るまで知りませんでしたが、副作用で太るみたいですね。決して吉牛を食べ過ぎて太ったわけではないようです…。

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松山ケンイチはこの役のために体重を20kg以上も増やしていたそうです…。生前の村山聖の風貌を事前に知らなかったので似てるかどうかは鑑賞中とくに気になりませんでしたが、写真を見ると……あんまり似てない!!

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一番好きなシーンは、定食屋「よしのや(?)」での羽生さんとのサシ呑み。もうめちゃくちゃ好きですよ。映画全体で一番印象に残りました。ここのシーンは青春映画であり、そしてラブコメだったと思います。話の内容も胸にきました。穏やかで優しい名シーンだったと思います。

村山の趣味が少女漫画と麻雀と競馬なのに対して羽生さんの趣味はチェス。見た目も性格も好みの趣向もまったく噛み合わない二人なのですが、将棋に人生をかけているというただひとつの共通点で繋がっていたのだと思います。お互いに実力を認め合い、高みを目指していける存在だったのでしょう。村山にとって羽生さんは目標であり、ライバルであり、そしてこの映画においてはヒロインでもありました。羽生さんの「私は、あなたに負けて死ぬほど悔しい」というセリフはめっちゃグッときましたねー。演じていた東出昌大も上手だったと思います。言葉の一言一言に重みがありました。

ここに到着するまでの過程も面白かったです。背後から距離を置いてストーカーのように尾行する村山…しかし途中で気づかれてしまい羽生さんと目が合ってしまう。が、何も言えず会釈。どうにか行きつけの店で憧れの人と食事をすることとなるのだが…。

全体的には女っ気がほぼ皆無な映画ですが、なんとなく恋愛のようなBLっぽさも感じてしまいました。ニヤニヤしちゃいましたねー。「趣味が、全然合いませんね!」とか面白い、なぜかキュンとなりました。狙ってやってんだろうけど控えめな演出が超イイんですよ!あとね、「イタキス読んだことあります?」とか言葉に出して言っちゃうのも、気恥ずかしくて…なんともいえないものがありました。このシーン大好きです。

笑える瞬間も何度かありました。「ここは有名人でも店主が話しかけてこないから良いんです」と村山が得意気に店の良さを語った直後に店主が現われて、「羽生さんだよね?サインちょうだい」と声をかけてきたりして、場が静かで落ち着いているだけにちょっとしたことでもクスッと笑えるんですよねー。緩急のつけ方がとても上手だと思いました。なんとなく初デートのぎこちなさのようなものも描かれていたし、初対面の相手とのお見合いみたいでもありました。いやー男同士なのにドキドキした!サイコー!

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羽生さんの人間性が一番出ていたシーンだと思います。主人公とは対照的に”頭脳派の天才”という感じでカリスマ性も感じました。東出昌大の演技は羽生善治の喋り方や癖を研究しまくってこんな感じになったんでしょう。特別詳しいわけでもないので知っている範囲のイメージですが、特徴はよく捉えていたと思います。ただ、少しモノマネっぽさが気になってしまいました…。若干ドラマチックすぎるようなセリフの言葉選びはとくに不自然とも思わずリアルに感じられました。眼鏡は羽生善治さん本人から借りていたようですね。

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村山の趣味は少女漫画です。なので、自室は本とCDが雑多に積み上げられている素敵部屋。部屋の四方は棚になっており漫画本がぎゅうぎゅうに詰められていました。ほぼ天井近くまで本の山。万年床っぽい布団以外のスペースは物だらけで足の踏み場のない状態。棚の上にはAKIRAが全巻積んであったりしてなんとなく自分の部屋を見ているようで親近感も湧きましたー。時代設定は90年代のため、懐かしい本がいっぱいあって面白かったです。なんていうのか、ちゃんとクサそうなんですよね!

キャラクターの性格も破天荒で面白かったです。ハチャメチャだけど人間味に溢れており、人づきあいは不器用だけど周りの人間が放っておけない愛らしい人物だったのだと思います。爪は右手人差し指と中指以外は長く伸びっぱなし。髪もボサボサ、服装も気を使っている様子はなし。趣味は酒、麻雀、競馬、少女漫画。食への傾倒っぷりも凄まじく「シュークリームはユニオン、牛丼は吉野家、お好み焼きはみっちゃん、カツ丼は徳川」などのこだわりよう(グルメとかではない)。あと、酒。酒豪でもないのでしょうけど、呑みに行くとガブガブ飲んでしまう。重い病気で酒は体に良くないにも関わらず…。酒を呑む量だって他人には負けたくない。そんな感じで極度の負けず嫌いで不摂生。なので、食生活が死期を早めたような気がしないでもないですね…。

聖「牛丼は絶対に吉野家じゃないとダメ!」

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主人公の夢はふたつあって、ひとつは「素敵な恋愛をして結婚をすること」。もうひとつは「羽生さんに勝って名人になること」。羽生さんとのサシ呑みで主人公の夢が明かされるのですが、僕はここで泣きました。映画の中のキャラクターたちが流す涙と同じくらいの分量泣きました(ごく少量)。

女を知らずに生きてきた29年間の童貞人生。少女漫画を読んでいたのも、恋愛への憧れのためだったのかもしれません。しかし膀胱ガンのために睾丸を切除することとなり、手術をした結果一生子供をつくれない体になってしまう村山…。すごく切ない気持ちになりました。

行き着けの古書店の女性に好意を寄せるものの、結局は最後まで気持ちを伝えられずに別れてしまいます。実際どうだったのか分かりませんけど、絶対あの子のことが好きだったと思うんですよねー。しかし告白できず、ほとんど言葉を交わすこともできません。レジで漫画を渡すところも、女性を直視できない立ち居振る舞いも、すごく共感してしまいました。受け皿に漫画を投げ出す感じがね、ひたすら恥ずかしそうでモジモジしたいんだけど我慢しているあの感じが、もうねー、いやー、好きでした!(意味わからないと思います、すいません)

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愛読書として登場する「イタズラなKiss」に何か意味があるのか気になりましたが、ちょうど実写映画の公開も控えているし、鑑賞中は「もしかして宣伝なのかな?」くらいにしか思ってませんでした。観終わってから知ったのですが、作者である多田かおるは連載中(1999年)に事故で亡くなってしまい漫画は途中で終わってしまったんだとか…。なんとなく村山の境遇とシンクロするものがありました。そういったことを意識してのチョイスだったのか、原作との改変点なども気になりますね。

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そしてラストは羽生との対局です。

両者の気迫が音と表情のみで伝わってきました。部屋全体に緊張感が漂っているようでした。脳内でのセリフも排除していて二人とも終始無言。余分な部分をそぎ落としていたような画作りもよかったと思います。聞こえてくるのは駒がパチパチ鳴る音、かすかな息づかい、それぐらいでした。言葉なしに伝わってくるものがあり、ここは役者の演技に圧倒されました。説明過多じゃない部分がよかったです。

究極の頭脳戦ということで、内心『デスノート』みたいなやりあいになったらイヤだな…と思っていたので、ホッとしてしまいました。戦況をほぼ説明せず(控え室での解説は多少あった)、演者の顔のみで勝負!って感じが良かったです。凄まじかったです。松山ケンイチは一手一手まるで命を削っているように打ち込んでいて、名演だったと思います。

盤面を見ても具体的に何がどうスゴいのかは分からなかったんですが(笑)、白熱した死闘の熱量みたいなものはビシビシ感じました。頭ん中がよくわからないのは逆に良かったのじゃないのかなー。あと、対局中にカットバックがいくつか入り(スローモーションで飛び立つ白鳥など)、ここは好みもあるかと思うんですが、個人的には好きでした。演者は二人とも棋譜を丸暗記してぶっ通しで撮影していたそうです。

劇伴が最高だったと思います。とくに映画前半はメリハリが効いていて大好きです。無音とそうじゃないときのバランスが絶妙でした。

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対局の最後に村山は痛恨の落手をしてしまいます。これが敗因となり、羽生に負けてしまう…。変な理由づけすることなくわりとアッサリ見せていたのが印象的でした。ものすごくあっけなかったです。ここはドラマチックに描きたくなりそうなものですが、そういうことをすると逆に嘘くさくなってしまったのかもしれません。ここの部分はなんとなく賛否ありそうな気がします…。個人的には、引っかかりはしましたが、悪くなかったですよッ!(上から目線)

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最も共感できたのは染谷将太が演じる大阪の三段棋士・江川でした。プロ棋士を目指している青年なのですが、年齢制限である満26歳の誕生日が迫っているため次の試合で負けてしまえば奨励会から退会となってしまう。四段に昇格できなければプロになることを諦めなければならないのです。試合の相手は中学生みたいなチビっ子棋士でした。理由はわかりませんが江川は対局中に鼻血ブー!!(興奮したから?) 血をダラダラ流しながら将棋を指す染谷将太の姿にはグッときました。血まみれになっても対局は続きます。

彼の「なぜ将棋をやっているのか」という理由が、「出会ってしまったから」というところもすごくよかったです。きっと誰しも動機はそういう曖昧なものなのでしょうね…。対局中の心境も突き詰めると「勝ちたい!負けたくない!」というシンプルなものになるのかもしれません。村山の「先のことをあれこれ考えても仕方がない。今僕らがやるべきことは目の前の一手に集中することだ」というセリフも突き詰めていった結論がそれだったのだと思います。

挫折する人間もしっかり描いていたし、そこでの葛藤もオチもあり、出番はそこまで多くはないけれど印象に残りました。染谷将太はいつも通りの名演でしっかり役をやりきっていたと思います。そして最終的に江川はプロ棋士の道を断念し、将棋関係の出版社へと勤めることに。やはり勝負の世界は甘くないのだなあと痛感しました。絶対血まみれになるような話じゃないはずなのに流血させてくれるのが個人的には最高でした。あ、あと車内での嘔吐シーンも一応ありました!

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森監督の監督作はこれが三作目で、『ひゃくはち』も『宇宙兄弟』も観ていましたが、『聖の青春』が一番面白かったです。元々ドキュメンタリー番組を製作していた方だったみたいで、監督の資質と話の相性が良かったんじゃないかなー。作品数は少ないですが、いまのところこれが最高傑作だと思います。

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脇を固める役者たちもすごく魅力的でした。棋士たちはみんなイイ味出していたと思います。リリー・フランキーも安田顕も今回は面白い演技せずにフツーの渋いおじさんに徹していたし、厭味もなくイイ感じでした。わりとリアルに存在しそうな人たちだったので、そのために主演二人の非凡感が際立ったような気もしました。筒井康隆は小汚い役が似合うようになってきましたね!

リリー・フランキーの「村山くん、これはあかん。これはもう詰んどる!」というセリフが印象的でした。村山聖の人生は将棋のようなものだったんじゃないのかな。

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柄本時生は煙草の吸い方と煙の払い方がサイコー!

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死んで悲しいというよりは、人間なんていつかは死ぬんだからそれまでに何をすべきか、どう生きるべきか、そういったものを考えさせられました。身一つでやってきて頭のみを使って盤上で死闘を繰り広げる棋士という職業がすごくカッコよく見えました。終盤はちょっと間延びしているような演出が気になりましたが、静かで熱い良い映画だったと思います。故人への敬意も感じました。

もし村山が病気で命を落とすことがなければ名人となっていたかもしれない。しかし病気になっていなかったら、そもそも将棋と出会うこともなかったかもしれません…。「僕には時間がない。だから勝たなきゃいけない」というセリフは切実で胸に迫るものがありました。

原作は未読のためどのへんまで脚色しているのか分かりませんが、向井康介の脚本はやっぱり好きですねー。主人公はダメ人間というほどではないですが、多少はそういう部分もあったりして、描き方は巧かったと思います。AVをちゃんと「アダルトビデオ」と言うあたりにも90年代を感じたりして…。原作も読んでみたくなりました。ということで、また長々とまとまりのない感想文になってしまいました…。最後に、好きな名セリフベスト3!


グッときたセリフ ベスト3
  • 「爪も髪も伸びるってことは生きてるって証拠だ」
  • 「神様のすることは、僕には予測できないことだらけだ」
  • (将来、プロ棋士がコンピューターに負けることがあると思いますか?)(ない)

おしまい

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ここで使用された将棋の駒は実際に村山聖が使用した遺品だったそうです。


主題歌は大嫌い。

聖の青春 (角川文庫)



『この世界の片隅に』感想。

良い映画でした。
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆ 70点
この世界の片隅に
2016年11月12日公開/126分/日本/映倫:G
監督:片渕須直
声の出演:のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、牛山茂、新谷真弓、小山剛志、津田真澄、京田尚子、佐々木望、塩田朋子、瀬田ひろ美、たちばなことね、世弥きくよ、澁谷天外

初日にレイトショーで観てきました。民放のTV局の番宣なんかは圧力で(?)やってなかったらしいんですが、自分の観た回はわりと混んでてほぼ満席でした。全体的に年配の方が多かったです。ご老人の団体客が大勢いました…。

原作の漫画は未読の感想です(鑑賞後に購入しました)。なので観ている間は理解できてないところも多かった気がします…。正直、観ようかどうか迷ったりもしてたんですが、いろんな著名人の方々があまりにもベタ褒め&激推ししてらっしゃるので、「もう観るしかないな!」って感じで鑑賞!!

うーん、面白かったけど「うおおおお」と熱狂できるほどではなかったです。良い映画なんですけど、良い映画なんですけど、好きかどうかっていうと微妙だったかなー。泣いてません、笑いました。嫌いじゃないけど普通です…。

この世界の片隅に12

<あらすじ>
1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。
(以上シネマトゥデイより)

この世界の片隅に3

ということで戦争映画です。しかし一貫して主人公すずの暮らしぶりが描かれているため、ちょっと特殊な戦争映画だと思います。たとえ戦時下にあったとしても、そこには日常という風景があり、そこで生活する人々がいる。笑ったり、恋したり、愛しあったりもする。そういった”普通の幸せ”を奪い去っていってしまうのが戦争だったのです。庶民の視点から戦時中の生活を描くという点がまず面白いところで、そういうものを描いた作品はいくつかあると思うんですが、これが物語の中心になっている日本映画はあまり多くないような気がします。最も評価されている点もそこなのかなと思います。

戦争と原爆という重い題材ですが、中盤まではビックリするぐらい何も起こりません。具体的な戦局などは映りません。体制側の人間も登場しますがチョイ役です。ひたすら庶民の暮らしぶりが描かれています。

この世界の片隅に8

まず、主人公すずのキャラクターがすごくイイ。ほんわかした天然ボケっぽい雰囲気がとにかく可愛らしいです。彼女の周りに流れる空気感も心地よかったし、家族や親類や近所の人々とやりとりされる会話も楽しいものでした。庶民の視点から描いているだけに共感するところも多く、徹底的にディティールにこだわっていたようで生活のリアリティなども感じました。物語前半はかなり笑えるし、コメディとしての面白さもあると思います。

で、個人的に一番好きな部分なんですが、語りのテンポめちゃくちゃ良いな!ってことですねー。前半の空気感は、基本的にのんびりしているんですけど、細かいカット割りなんかも多くて、話の展開は超ハイペースだと思いました。観ていて退屈しない(できない)感じが最高に良かったです。それにも関わらず、日常的な生活は坦々とゆったり描かれていて、時間は留まることなく常に流れ続けている。ここのメリハリがしっかり効いていて気持ちよかったです。

この世界の片隅に9

冒頭から年月日のテロップが何度も表示されて、これが原爆投下と終戦日までのカウントダウンのように思えました。これを見ただけでおそらく日本人なら誰しもそこに戦災が迫っていることが分かってしまいます。先を予見する恐怖感もありました。「この些細な幸せがこれから破壊されるのか…」と思うと、主人公の生き生きとした暮らしぶりがあるだけに、不憫にもなり、話が進むにつれて徐々に不安な気持ちが強まっていきました。ですが、誰が死ぬかも、死なないかもわからない。原作が素晴らしいのでしょうけど、脚本も演出も映像も丁寧に作られていたと思います。そのスリリングな部分をことさら強調して描いているようにも見えず、あくまでも主人公からの目線で生活を描くことに徹しているところが良かったです。

この世界の片隅に7

何度も登場する食事のシーンが印象的でした。生きるためには何か食べないとならない。しかし食料の乏しい時代、配給される量は日々減っていき、闇市では何もかも値段が高騰している…。そのために人々は道端の野草を摘んだり、海面に浮かんだ魚を取ったり、水カサを増して米を焚いたりと献立にも工夫を凝らし、また、食べ物の絵を紙に書いて、それを見て飢えを凌いだりもしていました。しかし非常に厳しい食生活なのですが、なんだかそれさえも楽しんいるように見えました。「泣いてたら塩分がもったいない」というセリフが彼女たちの力強さを象徴しているように思えました。大切な人が亡くなっても腹は減るし、明日を生きていくためには食べなくちゃならないのです。

「戦時下で暮らす人々は不幸であり常に戦争と戦い続けているものだ」というイメージをなんとなく持ってしまっていましたが、それは実際にそうなのだと思います。しかし戦争という非日常も当時は意外と日常のこととして受け入れてたのかもしれません。塚本晋也監督の『野火』では戦場での極限状態の飢餓地獄が描かれていましたが、本作では飢えの恐怖や人間の尊厳が崩壊していく狂気などよりも戦争という辛い現実の中でも愉しみを見つけて乗り切っていく人間の力強さのようなものを感じました。主人公の視点から戦争を体験するような感覚はどちらも共通していたと思います。

この世界の片隅に5

空襲のシーンは周りの風景と同等に扱われていたような気がしました。つまりそれさえも生活の一部であり、また、当時は逃れようのないものだったのだと思います。いきなり戦争がやってくるというよりは、戦争がジワジワと日常を侵食していくような感じでした。

そして1945年8月6日、広島市への原子爆弾投下。原爆が投下されるシーンも同じように、ピカッと閃光が遠くで輝くところが「何気ない日常の一部分」のような描かれ方をしていました(光を目撃した後も笑い合ったりしている)。その後になって、爆風で飛んできた広島市の回覧板を拾ったり、黒焦げになった人間が家の壁にもたれて亡くなっていたりするのですが、主人公たちはいったい何が起こっているんだか分からない。そういう不安や恐怖の描き方は巧かったと思います。当時もきっとこんな感じだったのかもなあ…と、そう思える説得力がありました。過剰さは抑えてリアリティを重視していた印象です。

この世界の片隅に14

舞台となる広島県呉市は日本一の海軍工廠と呼ばれる港町だったそうで、そのためにアメリカ軍からの空襲に何度もさらされ爆破目標となっていたのです。

映画終盤、投下された時限式の爆弾が爆発し、姪っ子の晴美ちゃんが亡くなってしまいます。同時にすずの右手もふっ飛ばされます。ここが全体で最も悲痛なシーンでした。なんとか命は助かったものの、義姉に責められ、自分を責めて、大好きだった絵も描けず、以前の笑顔を失ってしまう主人公。戦争の残酷な面も目を背けずにしっかり描いていたと思います。

前半で日常描写の積み重ねがあったため、ここでの残酷さ、大切なものを失った喪失感、それらが際立ったように思います。絶望というよりは諦観のようなものを感じました。平穏と戦災とのギャップが大きくて、ここの落差は効果的でした。

この世界の片隅に10

「なにも知らないまま死にたかったなぁ…」

姪っ子と右手を失ったことでそれまで存在していた生きがいを奪われてしまうすず。彼女がそれまで生きてきた世界は消えてしまったのです。そして戦争は終わります。玉音放送が流れ、直後の叫びは胸にきました。

「玉砕覚悟で戦うと言ったのに、なぜ敗北宣言をするのか、私にはまだ左手も両足もあって戦えるのに、負けを認めては、戦争で死んでしまった人達に申し訳が立たん!」と言うすず。

この世界の片隅に6

お涙頂戴モノ映画だとは思いませんでした。感情の押しつけなどは感じなかったし、教訓めいた説教臭さも極力控えていた気がします。それに割合としては泣きよりも笑いの要素のほうが多かったです。フラットな目線で誠実に描いているような印象も受けました。

ラストシーンが前向きで爽快だったため、やりきれないほどの悲しさは残りませんでした。優しい映画だったと思います。街に明かりが少しずつ灯っていくシーンを見て、なんだか救われたような気分になりました。

non

主人公の声優は女優のん(本名・能年玲奈)。彼女を起用したのは正解だったと思います。というか彼女以外に考えられない!ってくらいに声質と喋り方がすずさんにハマっていました。聞いていてとても心地よかったです。すずさんはのんさんだし、のんさんはもはやすずさん!そのくらいにキャラクターに同化していました。コミカルな演技もシリアスな演技も素晴らしかったと思います。上手いかというと…そんなこと全然ないと思うんですが、広島弁の違和感なんかまったく感じなかったし、相性が良かったんでしょうか…。まさに魂を吹き込んでいるという感じでしたね。主人公が実在していたら現在91歳なんだそうですよー。

正直、観に行くまでは「のん」ってことで半笑い状態だったんですが、『あまちゃん』以来の代表作になるんじゃないでしょうか。出演作はわりとチェックしてたんですが(『動物の狩り方』というのだけ観てない)、今までで一番楽しめました。「あちゃ~」「弱ったねえ」「困ったねえ」「えいッ!冷や~」とかね、もう可愛すぎでしょ!

non2

クラウドファウンディングのクレジット部分で映るアニメは原作から削られたシーン(口紅で描かれたエピソード)だったんだとか…。原作読んでもう一度見直したいです。

rin

白木リンさんのエピソードが削られていたようです。(とくに気づかず…)

この世界の片隅に2

ミリタリー描写は緻密に描かれていました。それから爆撃の音なんかも音響にこだわっていたらしく、音は全部本物(?)だったんだとか…。これは迫力がありました。

この世界の片隅に13

柔らかいタッチで温かみのある画でした。呉の町並み、山や海の風景、軍艦、昆虫、鳥の描写など、どれも普通にキレイでした。ビックリするほどクオリティが高いとは思わなかったです。

この世界の片隅に11

戦時中であったとしても接吻もするし恋もする。意外と生々しかったです。

manga

そんなわけでいろいろ書きましたが、予想していたよりはフツーの面白い映画でした。テーマが重すぎるだけに安易に文句言えないのか、感想読むとどれも言葉を選びまくってる感じはしましたねー。批判するところもとくにないのですが…。子供からお年寄りまで万人が楽しめる映画だと思います。

実際に戦争を体験した方々から証言を取ったりと時代考証がすごいらしいので、戦時中の史実を後世に伝えていくためにも残すべき作品なのでしょう…。資料的な価値の高い作品なのだと思います。

gen

戦争を描いたアニメ映画といえば『はだしのゲン』(画像上)とか『火垂るの墓』などいくつかあると思いますが、そういうものと比べてしまうと、恐怖感は薄かったです。インパクトもありませんでした。腕がちぎれたり耳からウジわいたりしてるんですけど、残酷!ってほどでもなく、ここはショボかった。そもそもの原作に強烈な残酷描写ってのもあんまりないですし不必要なのかもしれませんが、個人的にはちょっと物足りないと思わずにはいられませんでした…。反戦映画としても、ちょっと弱い気がしました…(『炎628』とかに比べると)。それから、終始テンション低いってのも気になるし、やや予定調和な展開も…。リアリティ重視で描くとそうせざるを得ないのかなー。

好みではなかったです。語るべきは”今観るべき意味”とかそういうことなんでしょうね、きっと…。苦手です。

drama_k

2011年に放送された北川景子主演のドラマ版も一応観ましたが、戦争モノというよりは恋愛モノとして撮られており、欠損した右腕も冒頭で見せてしまう…。観る必要なかったかな…。


おしまい


↑予告

『無垢の祈り』感想。(R18+)

凄い映画、衝撃的でした。原作既読。
個人的評価:★★★★★★★★★☆ 90点
mukunoinori
2016年10月08日公開/85分/日本/映倫:R18+
監督・脚本:亀井亨
原作:平山夢明
出演:福田美姫、BBゴロー、下村愛、サコイ、綾乃テン、奈良聡美

<あらすじ>
学校で陰湿ないじめを受ける10歳の少女フミ。家に帰っても、日常化した義父の虐待が日を追うごとに酷くなり安息の時間もない。母親は、夫の暴力から精神の逃げ場をつくるべく、新興宗教にいっそうのめり込んでいく。誰も助けてくれない……フミは永遠に続く絶望の中で生きている。そんなある日、自分の住む町の界隈で起こる連続殺人事件を知ったフミは、殺害現場を巡る小さな旅を始める。そしてフミは「ある人」に向けて、メッセージを残した…。

mukunoinori2

とりあえず、ちゃんと劇場公開されたことを喜びたいです。なんでも、作品の過激さゆえに公開館が見つからず、お蔵入りになる危機まであったんだとか…(つい最近まで全然知らなかったのですが)。なので無事に映画館で観ることができて本当によかったです。元々原作も大好きでしたし。

で、感想なんですが、何ていえばいいのか…難しい(笑)。「面白い」とか、そういう映画ではなかったと思います。徹底的に絶望!まったく希望がない!とにかく恐ろしい!そして、フミちゃんかわいそう!ひたすら容赦のない演出で、どうしようもなく落ちこみました…。そんな感じです。

決してつまらなくはありません…。が、後味はそんなに良いものじゃない…。また、楽しい内容でもありません。かといって、観なきゃよかった!というものでもなく、うーん、強烈だったけど………なんなんだこれは。

所謂「厭な映画」だったと思います。

mukunoinori5

学校でイジメられ家では虐待を受ける10歳の少女フミ。彼女は世界に絶望し、救いを求めた相手がこともあろうに連続殺人鬼だった…というお話。連絡方法は犯行現場にチョークで伝言を書き残すというもので、彼女にとっての最後の希望は殺人鬼が全員ぶち殺してくれることだったのです。

フミ「みんな、殺されちゃえばいいのに」

mukunoinori3

本作の公開が危ぶまれた一番大きな理由は、おそらく過激な性描写のためだと思います。主人公のフミが義父から性的虐待を受けるシーン、また、冒頭でロリコンの変態に悪戯されるシーンを、ギリギリの部分まで隠すことなく(直接的ではないですが)描いていた印象です。ちなみに、主演の福田美姫ちゃんは撮影当時9才だったとか…。

しかし問題の性的虐待シーンを普通に撮ったのでは児童ポルノ法に引っかかってしまう(?)ということで、それを回避するための策としての表現方法が…これがスゴい。音のみを聞かせるだとか部分的に見せるだとかいろいろ方法はあると思うのですが、一応は「しっかりちゃんと見せてくれます」。性的虐待なので、要は義父に体を弄られたりしているわけです。この部分を法に抵触することなく、なおかつちゃんとそれとわかるように撮っています。

この発想が面白いと思いました。簡単に書いてしまうと、彼女の体を傀儡人形に投影しているのです。そして主人公のフミは、この奇怪な人形が義父に弄ばれる様を第三者的目線からじっと見つめている、と。つまり自分の姿を人形に投影して見ている妄想世界なのです。本能的な自己防衛手段としての妄想だったのだと思います、そうでもしないと心が壊れてしまうため…。児童ポルノ法を回避するための演出が、結果的には卑劣な虐待行為のおぞましさを際立たせるものとなっており、これはもう大成功だったと思います。とにかくもう人形がトラウマ級に不気味。気持ち悪すぎます。当然ながら女性器も付いていて、これを義父は弄ぶ…。このシーンの異常性は凄まじいものがありました。

児童ポルノとは、
「現実の若しくは疑似の(real or simulated)あからさまな性的な行為を行う児童のあらゆる表現(手段のいかんを問わない)又は主として性的な目的のための児童の身体の性的な部位のあらゆる表現」(Wikipediaより)


ギリギリな表現だった気がします。タブーに踏み込みまくっている感じがヒリヒリしました…。ここは超グロテスクだし、一番好きなシーンです。

mukunoinori11

正直、観る前は、原作が鬼畜で陰惨な話ですし、カナザワ映画祭にて初上映だし…ということで、きっと「気の狂うような残酷スプラッター描写を皆でゲラゲラ笑う映画」なんだろうと思っていたんですが、まったく違いましたね…。グロ描写も一応いくつかありますが、そこまで過激にぶっ飛んでいるわけでもない…というか、わりとリアルなやつでした。殺人鬼は便所で死体を解体し、骨から肉を削いで便器に流す、そして残った骨はゴミに出す、というベテラン食肉業者みたいな仕事っぷり。結局、殺人の瞬間を見せるシーンはラストでのたった一度きりなんですよねー。

原作では大男だった殺人鬼ですが、映画では細身のフツーっぽい男性になっていました。それから姿も早々に見えてしまう。良い改変だったと思います。日常の生活範囲内に潜んでいる狂人という感じがビンビン伝わってきましたし、ちゃんと恐ろしかったです。演じる役者さんは寝る間も惜しんで【屠殺場の殺される音】を聞くことで役作りしていたんだとか…。

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それから、印象的だったのが音でした。耳に突き刺さるようなノイズ混じりの工業音のせいで物語の残酷度が増したような気がします。『イレイザーヘッド』のサントラなんかも思い出しました。音と、それに無機質で閉鎖的な工業地帯の風景で、少女の心の絶望を表現していたようにも感じました。ロケーションは最高です。というか完璧。呼吸が止まるような禍々しい緊迫感が終始画面に漂っているかのようで、カワサキという町の工業地帯がまるで日本の魔界でしたよ(笑)。終盤のピアノとバイオリンも素晴らしかったですし、無音もすごく効果的に使われていたように思います。セリフで語られない部分から、世界に絶望した少女の気持ちがガシガシ伝わってきた感じです。少女から最もかけ離れた存在、つまりは外部にいる誰かに救いを求め、それがたまたま連続殺人鬼だったのかな、とも思いました。

風呂場のシーンがなんとなく象徴的な絶望描写だとも思いました。「閉鎖的」で「無防備」、そして同じ浴槽内に暴力的な義父、という逃げ場のない恐怖。画で語るシーンは多かった気がします。

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個人的に一ヵ所だけ激しく不満…というか「こうだったらよかったのに!」と思うところは、義父の殺害描写ですねー。ちょっと弱い気がしました…。ここだけは原作のほうが強烈だったし、そのまま映像化してもらいたかったです。主人公にとっての元凶である義父なのに、アッサリと片づけすぎな感じがしました。瞬殺なのはいいですけど、派手な死に様が見たかったです…。

ひょっこり現れる殺人鬼もどうかと思いましたし、現場がわりと明るくていろいろよく見えすぎちゃうのもちょっとなあ…と、ラストシーンの食肉工場だけは、いろいろと残念でした。そこまでは本当にただただ圧倒されて、「文句なしの大傑作!」という感じだったんですが、義父が工場に到着し、「見いつけた!」の一言ですべてが冷めたような気がします。セリフはアドリブだったようですが…。少女の絶叫はいいとしても(個人的にはイヤですが)、その直前で熱が冷めたような感覚になってしまいました。原作のほうでは超残酷にエグい殺され方をしてるんですよねー。

「突然、南瓜を槍で突いたような音とともに義父の頭が裂け、熱い飛沫が雨のように降りかかった。見ると顎まで真っ二つに割れた義父の頭の向こうに巨大な影が立っている」「上顎を立ち割られ根っこまで丸見えになった舌が右に左に逃げまどい、嗚咽のような音が喉を震わせた、義父は胸元の空気を二三度、掻き毟り、やがて仰向けにどうっと倒れた。」
・・・という感じ。これはこのまま見たかった!!義父に対しては嫌悪と怒りでいっぱいなので、できる限り痛そうに殺してほしかった!!

殺される直前の「カッターナイフ」そして「狭い」という怖ろしすぎる部分も、そこまでは息ができないくらいの緊迫感だったのにいきなりここで安っぽく見えてしまった感じがしました。そして少女の絶叫へ…。

mukunoinori6

原作者・平山夢明さんも出てました!!

mukunoinori4

幼い少女が絶望的に虐げられて、さらに、救いもない話です。原作では、殺人鬼がラストで「鉈を捨てる」、つまり殺意がないことが分かるのですが、映画では救いがなさすぎました…。最後の絶叫が、あれが彼女にとっての『無垢の祈り』だったのだとしたら、あまりにも悲しすぎます。そして最後の最後まで絶叫し続ける【祈りの言葉】が、残酷すぎて、どん底まで突き落とされた気分でした。ラストで彼女が救われていれば、観ている観客も救われた気がします。後に引きずるような映画です…。救ってほしかった。

おしまい


↑予告です

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

原作の短編はこれに収録されてます。
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