邦画しか観ません。

日本映画の感想文。基本的に原作未読で在宅鑑賞。ネタバレしてます!

ミステリー

『怒り』感想。(PG12)

「怒り」「信じる」「許す」という部分での感動はそれほどでもなかったんですが、キャラクターの描き方は面白かったと思います。そこは楽しめました。
犯人についてのネタバレあります、一応。
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆
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2016年09月17日公開/141分/日本/映倫:PG12
監督:李相日
原作:吉田修一
出演:渡辺謙 森山未來 松山ケンイチ 綾野剛 広瀬すず 佐久本宝 ピエール瀧 三浦貴大 高畑充希 原日出子 池脇千鶴 宮崎あおい 妻夫木聡 水澤紳吾

<あらすじ>
八王子で起きた凄惨(せいさん)な殺人事件の現場には「怒」の血文字が残され、事件から1年が経過しても未解決のままだった。洋平(渡辺謙)と娘の愛子(宮崎あおい)が暮らす千葉の漁港で田代(松山ケンイチ)と名乗る青年が働き始め、やがて彼は愛子と恋仲になる。洋平は娘の幸せを願うも前歴不詳の田代の素性に不安を抱いていた折り、ニュースで報じられる八王子の殺人事件の続報に目が留まり……。
(以上シネマトゥデイより)

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公開から半月経って、映画『怒り』ようやく観てきました。
平日のレイトショーでしたが客席は(BL目当ての?)女性ばかりでほぼ満席という感じでした。豪華キャストですしネームバリューに惹かれて鑑賞した方も多いのかなと思います。自分の場合は吉田修一が原作ということで…観なければ!という感じですね。ですが原作の『怒り』未読です…。購入しましたが、間に合いませんでした。なので、映画本編のみの感想になります。

以前から劇場に行くたびに予告がバンバン流れていましたし、李相日監督と小説家・吉田修一の『悪人』タッグ、加えて豪華なキャスト陣ということで若干の期待はしつつ、ですが李監督の前作『許されざる者(日)』がそこまで楽しめなかったので、ゲイ描写が面白かったらいいな、という程度の気持ちで鑑賞しました。『悪人』のほうは、賛否両論で否定的意見多めなイメージありますが、個人的にはけっこう好きです。部分的には大嫌いなところもありますし、大絶賛ではないのですが、主人公への感情移入は当時ハンパなかったです…。なので、嫌いにはなれない作品ですね。

で、今回の『怒り』なんですが、出来としてはわりと同じような印象でした。好きなところもあるけど、嫌いなところもあって、オチ微妙…って感じです。テーマ自体は深いものだったと思います。しかし、それが伝わってきたかっていうと……。信じることの難しさ云々は分かります。それより肝心の【怒り】の部分が、とくに犯人の【怒り】が、いまいち理解できませんでした。だからって作品に対して「ふざけんな!」と怒るほどでもなく、なんていうか、全体的には、まあまあでした。所々ディティールの部分は面白かったんですが…。

(予告動画は一番下に貼ってあります)

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大雑把なあらすじは上にも書いてありますが、日本の異なる三カ所で同時進行するヒューマンミステリー映画(?)だそうです。ミステリーの要素は少なめで大筋は人間ドラマを描いていたと思います。八王子の閑静な住宅地で夫婦の惨殺死体が発見されるところから話は始まります。現場には、血で書かれた【怒】の文字が残されており、その後犯人は逃走。逮捕されることなく一年が経ったある日、整形して潜んでいるとされる犯人の似顔絵がテレビで公開されます。そして、千葉、東京、沖縄で、犯人だと疑わしい3人の男の存在が浮上し、彼らを取り巻く人々の心が揺さぶられていく…というものです。

容疑者は以下の通りです。
  • 千葉編:田代哲也(松山ケンイチ)
  • 東京編:大西直人(綾野剛)
  • 沖縄編:田中信吾(森山未來)
いずれも素性の知れない3人。犯人はいったい誰なのか?

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とりあえず、好きだったところから書いていきます。

妻夫木と綾野剛のゲイ描写はサイコーでした。東京編ですね。まあここは見てる間ずっと楽しかったです。ゲイでサラリーマンの妻夫木は、発展場で拾った素性不明の男・綾野剛をヒモにしてあげることになります。出会いは肉体関係からでした。この発展場(サウナ)を妻夫木がスタスタ歩いていくシーンなんかはテンション上がりましたよ、大好きですね! そのちょっと前には妻夫木がプールで男だらけのパーティーに参加しているんですが、そこでの派手さ加減から一転して発展場では急に描写が生々しくなるわけです…。そこらじゅうでムチムチの男たちが、まあ汗まみれで、激しく愛しあっており、ここのシーンは『シェイム』(SEX依存症映画)のマイケル・ファスベンダーとか意識してるんじゃないかなと思いました。非日常的な地獄のような感覚がたまらなかったです。奥で横になっている綾野剛を見つけて、激しくペッティングなどしつつ、周りでは同じように男たちが交わり合い…。綾野剛は綾野剛で、たいして抵抗もせず自然に受け入れてしまう。来るもの拒まずという感じもあり、自発性が欠如したような存在で、何もしない男という印象が強かったです。無気力とはまた違うんですが、ただいるだけ…って書くとそれもちょっと違う気がしますが、でも、ただいるだけのシーンが多かったと思います。極力演技しないようにしている印象も受けました。

ちなみに妻夫木がタチ(突っ込むほう)で、綾野剛がウケ(突っ込まれるほう)でした。綾野剛は終始女役に徹していて、ときおり胸の谷間を作ったりして、可愛らしかったですよね。『横道世之介』のときもゲイのウケっぽい役を演じていましたが、今回もあの時と同じようにベランダから東京の夜景を眺めていたりして、そこが若干リンクしたりで面白かったです。原作は同じく吉田修一ですし、当て書きしたのかな?と思うほどハマり役でした。妻夫木の周りにいる友人たちのほうがガチホモ感は強かったように思います。メインの二人もそれっぽくて好印象でした。ぼく自身はノン気です。

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ちゃんと男らしくディープキスしてましたよ!

…というようなことは本筋の殺人事件と(たぶん)深い関わりもないのですが、人間の描き方は素晴らしかったしちゃんとそこに存在しているような説得力もありました。まあ単純に見たかったもんを見せてもらえて喜んでるだけな気もしますが、面白かったですね。描き方がステレオタイプすぎるとの意見もあるようですが、むしろここはベタで良かったと個人的には思ってます。

そして、ここから二人の同棲性活が始まっていくのです。初めは距離のあった二人の関係は徐々に親密なものへと変わり、過去が分からない男のことを少しずつ信頼していくようになっていきます。しかしある日妻夫木はテレビで殺人事件の容疑者の似顔絵を見てしまい、綾野剛との共通点に気づいてしまう…。果たして、愛した男が殺人犯ではないと信じぬくことができるのか!?っていう話ですね。

千葉・東京・沖縄の3エピソードありますが、個人的にはこの東京編が一番好きでした。綾野剛カワイイ描写なんかも超イイですよ。コンビニ帰りに「袋が傾いちゃう…ヤダ…あれッ、うまくいかない…もう~」みたいなのとか爆笑。そこを優しくフォローしてあげる妻夫木くんも、いいなあって感じで。ヒゲも服装もそれっぽくて、部屋の鍵を預けるところなんかもすごく良かったし。徐々に信頼度が上がってる描写なんか巧かったと思います。それから母の死、バイ疑惑、警察からの電話、そして結末までの流れも自然でした。東京の二人はなんだか好意的に見たくなってしまいました。最後にめそめそ泣いちゃうのだけが不満ではありますが。

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そして、全編通しておそらく最も衝撃的なシーンだったと思うんですが、まあいろいろあって本作のヒロイン広瀬すずちゃんが、米兵にレイプされます…。沖縄編ですね。那覇へ遊びに来て慕っているお兄さん(森山未來)に飯奢ってもらって楽しく過ごし、あー楽しかったッ!とルンルン気分で帰路に着く広瀬すず。途中、一緒にいた友だちのタツヤくんとはぐれてしまい、探し回っていると薄暗い路地へと迷いこんでしまう。さまよい歩いて、ふっと角を曲がるとそこは米兵の盛り場。恐怖心から足早に逃げるのだったが…。あっけなく二人組の米兵に捕まり連れ去られてしまう。そして、公園まで連れて行かれたすずちゃんはパンツを引っぺがされてうつ伏せ状態でバックからズコズコ…。

何も知らずに観に行ったので、けっこうショッキングでした!
「沖縄って、無法地帯の地獄かよ!」と思いました。

レイプされる映画なんていっぱいありますが、まさか広瀬すずが…ねぇ……。まあでも、楽しんでしまいました。驚きが大きかった分、テンションも上がりましたし…。うん、まあ、最悪ではあるんですが。ここに至るまでの恐怖演出も好きだったんですよね。ちゃんとドキドキしたし、途中で展開が予見できるものの、心にグサッときました。こんなこと書くと良識ある誰かに怒られそうですが、正直めっちゃ興奮しましたよ。画的には、刺激的なものは必要最小限だけ見せていて、撮っている側も広瀬すずもすごく遠慮している感はありましたが、頑張ってたシーンだと思います。

が、このシーンの必要性はあまり感じなかったですよね。個人的にはこういうショッキングなシーンは映画にひとつくらいあったほうがいいかなと思うんですが。同行した少年の親父が反基地運動で汗水垂らしてんのを見せておいて、米兵(しかも黒人)に無垢な少女をレイプさせるって、ちょっとあからさますぎませんか…。なんか利用してる感じが見え見えで、さすがにどうかなあとも思いました。このシーンの説得力があったためにラストの叫びも悲痛で哀しくなるのですが、どうだろう…。レイプしてもいいけど国絡めんのが、ちょっとなあ…。狙いでやってたんでしょうけど。

ただ、娯楽大作がアッサリ排除しちゃいそうなこういう陰惨なシーンをわざわざ入れ込んできたのは良いことじゃないかなと思ってます。だって無くても話が成立しちゃいそうですし。誰かしらが憤慨しそうな描写ですが現に映画全体で一番の見せ場となっているわけですし、そういう意味では、あってよかったのじゃないかと…。どう見たって痛々しいシーンですよ。しかし、そうじゃなきゃ話にならないですよね。

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広瀬すずは登場人物の中で最も救いがなく、不幸なキャラクターだったと思います。母の勝手な都合で沖縄へ引っ越し、見ず知らずの米兵にレイプされてしまい真夜中の公園で処女喪失。好意を抱いていたお兄さんは東京で人を惨殺してきた頭のオカシイ逃亡犯。唯一の友だちは森山未來をぶち殺して、ラストで殺人犯に…。

彼女に共感はあまりなかったんですが、不憫でしたね。人を信じて裏切られる絶望は一応しっかり描かれていたと思います。彼女のトラウマを考えると胸が痛みますが、なんていうか、全体的に話にのめりこむことができなかった気もします。他人の不幸を一歩引いた目で眺めているような感覚でした。

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見始めてから気づいたんですが、この話って市橋達也容疑者の一連の逃亡記録が題材となっているんですよね(たぶん)。事件にそれほど詳しくもないですが、以前観た『I AM ICHIHASHI』と酷似した描写がバンバン出てきましたし大阪にて偽名で働いていたという証言もありました(水澤紳吾サイコー!)。ということで話は飲み込みやすかったです。犯人は誰なのか…?ってことを、鑑賞中自分なりに予想してみたりという部分も楽しむべきところなんだと思います。3人がわりかし平等に疑わしく見えるような演出で、終盤まで誰が犯人なのか分からないような作りになっていました。もしかしたら全員が無関係な人物なのじゃないかと思う瞬間もあったりして、脚本はよくできていたんじゃないかと思います。左利き、三連ホクロなどの犯人の身体的特徴で惑わせてるあたりは、うまくいっていたと思います。三カ所を短時間に行ったり来たりの見せ方なのですが、そこでの不自然さも感じませんでした。

この映画の重要な点は、突然現われた素性の知れない人間を信じきることができるのか?という部分です。他の方々も散々書かれていますが、「信じることの難しさ」を描いたものなんだと思います。

いきなり結末をバラしちゃいますが、結果はこんな感じ。
  • 千葉編:信じてたら、ハッピーエンド!
  • 東京編:信じられず、証拠隠滅!
  • 沖縄編:信じてたら、裏切られた!
まあ書き方がアレですけど、だいたいこのようになってたと思います。そんで全部最後はめそめそ泣いて終わりっていう…。種明かしの部分までは、個人的にはけっこう良作!と思っていたんですが、ラスト30分くらいですかね、もう感動のゴリ押しで…つらかったですね。そういう部分があってもいいですし、李相日監督の持ち味みたいなもんだから必要なんだとも思います。ですけど、今回はしつこすぎ。さすがにクドい。途中までテンポも良かったし面白く観れてたのに…。ラストもそのまま畳み込んでほしかったです。もう最終的に皆で泣きだしちゃって、予告の時点でけっこう大々的に見せつけてたのである程度構えて見ましたが、ちょっと涙の分量が多いな、と。坂本龍一先生の劇伴も、単調だし、押し付けがましくて終盤はイヤでしょうがなかったです…。むしろラストは予告のようにサスペンス色濃厚な見せ方のほうがよかったんじゃないでしょうか。そして、「泣かせ」の部分はピンポイントでガツンと来たほうがグッときた気がします。というか、そのほうが個人的に好みでした。あんなにも長々やらずにコンパクトにまとまりそうなもんですけどね。人が泣いてるの見ると、泣けないんですよね。むしろ、こらえてこらえて、それでも出ちゃう涙のほうが…。まあ、書いててナニソレって感じなんですが、要は泣きどころでアッサリ泣かないでほしいんです。もっと予想から外れた意表をついたところで号泣してほしい…って無理難題っぽいですね、うーん、できれば『悪人』の時のように一時でも涙を隠すような演出のほうが心に響いた気がします。「ここ泣くところですよ!」って感じの号泣シーンは大嫌いです…。

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宮崎あおいさん、ギャーギャー泣き喚きすぎ。

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妻夫木くんは、うえーんって感じ。

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ケン・ワタナベ、ほろりと泣く。

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このように、まあ、みんな嬉しかったり悲しかったり悔しかったりで号泣してんですけど、森山未來の泣きは良かったと思います。どうしても堪え切れずに涙がこぼれ落ちてしまうという感じで、泣き演技対決では森山未來の圧勝でした。そして、これ演技なんですけど、劇中でも「泣いたふり」というか、実際泣いているんですが、嘘泣き…なんですよね、たぶん。

殺人犯は、森山未來でした。

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個人的に事件の真相部分(殺害へと至る経緯)だけはちょっと好きというか、やや説明的ではありますが気持ちわかりました。犯人が夫婦を殺害したシーンです。犯人(森山未來)は日雇い派遣として働いており、事件当日は住宅街にある土木現場に向かっていたのです。しかし歩いても歩いても指定された場所が見つからない。おかしいと思い会社に確認してみると、今いる場所はまったく間違っており(前回の現場)電話越しに嘲笑されてしまう。その日は真夏の暑い日で、彼はどうしようもなく脱力し、近くの住宅の玄関前に腰を下ろすことに。しかし運悪く家主の主婦が帰宅してしまい、気まずく鉢合せてしまう。主婦が家の中に入っていってからも犯人は疲れ果ててその場を動かず、暑い日差しを受けて座り込む。そこへ気を利かせた主婦が、同情なのか何なのか、犯人に好意でお茶を持ってきて、これがきっかけで殺害に至ってしまう、というものでした。犯人の風貌は、松山ケンイチが一番近かったと思います。

苛々するような最悪な状況の中、見知らぬ他人に優しくされてしまう。これが癇に障ったのか、見下されたように感じたのか、定かではありません。会社の人間へと感じた犯人の「怒り」がまったく関係ない他人に向いてしまう、ここの感情はわからんでもなかったです。だからってそんなことで人を殺すのはとんでもなく身勝手な話ですが。どうしようもない鬱憤の溜まりようが、わりと短時間で伝わってきました。主婦にまったく非はないし、悪いのは完全に犯人です。素性の知れない人間への善意が殺人の引き金になってしまうという恐怖として描いていたのでしょうか。

結局、森山未來は、ただ頭がオカシイとしか思えない人物でした。

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米兵にヤラれてる女
知ってる女だった
気絶 ウケる

この言葉が壁に刻まれているのを見て、少年の殺意が目覚めます。そして、森山未來は少年にナイフ(裁ち鋏だったかも)で腹を刺され、殺されてしまう。森山未來が夫婦を殺害してしまったのと同じように、突発的な「怒り」は目の前の存在へと向けられる。果たして殺すべき相手は森山未來だったのか…。彼はゲスなクソ野郎で、殺されてもしょうがない人物だったのかもしれません。しかし少年が好意を寄せる広瀬すずを無惨に犯して悲しませた憎むべき相手は米兵だったのでは…?

それよりも信頼した相手に裏切られた憎しみのほうが勝っていたということでしょうか…。まず最初に米兵を殺してほしかったです。そんなことになったらリアリティも何もないんでしょうけど。いろいろ考えさせられました。

夫婦殺害描写は「カットせずにちゃんと見せろ!」と言いたいです。包丁で刺し殺す瞬間だけ見えないとかさ、ガッカリですよ(それを観に来てんのに)。森山未來の死にざまも、死んだかどうかよくわからずフェイドアウトしていっちゃうしスッキリしない感はありました。ここはザクザクっと刺しまくってもよかったですよ。このへんはただの好みの問題です。

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そもそもこの話、映画化するの難しかったんじゃないかなと思いました。事件発生から解決までの間が長すぎて、刑事がピエール瀧なんですけど、コイツがあんまり登場しないんです…。もっと頻繁に要所要所で忙しく事件の捜査でもしてれば緊張感も出て気張って見れたように思いますけど、まあ設定上ムリがあるのでそうはできないのでしょうが、とくに中盤、もう少し警察との接触があったほうがよかったんじゃないかと思いました。3つに分けたことで残虐な事件性への印象が薄まってしまったような気がします。それぞれ楽しめるシーンはあったのですが、重要な殺人事件とのバランスがちょっと悪かったように思いました。「本当に重要なのはそこじゃないんだよ!」ってのは分かりますけど、ラストは、いきなり説明的になってしまい、一応の事件の結末がテレビ中継で【容疑者死亡!】って…。

信じること、裏切られること、そして、怒り。どれもキレイにまとまっていましたし、これといって破綻もなかったです。なので脚本への文句はないのですが、激しく共感することはありませんでした。映画の登場人物の喜怒哀楽をただ呆然と眺めて、ここは悲しい、つらい、など想像して「わかる」ことは多々ありましたけど。

他の方の感想など見ると号泣してる人も大勢いるようですし、自分に合わなかっただけかなとも思います。まず、個人的には見ず知らずの人間を易々と信頼できちゃうそういう部分が理解できなかったりもします。他人なんかなかなか信頼できませんし、ましてや素性の知れない人間を信じるなんて…まあ殺人犯だったら、それは驚くでしょうけど…いまいち伝わってきませんでした。

そうはいっても画は美しいし、(途中までは)編集も巧い。さすが李相日と思う瞬間もあったりして、自分の中でも賛否両論な感じで、好きか嫌いかといったら断然好きではあるんですが、うーん、ハッキリしなくてふらふらした感想になってしまいました、すいません。原作ファンの方曰く、本物の『怒り』は原作にあるようです。おそらく、実際そうなのだと思います。とりあえず読んでみたいです。観て損するような映画だとは思いませんでした。


予告では後半サスペンスっぽく強調されていました。

『残穢 住んではいけない部屋』感想。

考えれば考えるほど心底恐怖するタイプの正統派ホラーだと思います。ラストで賛否が分かれそうですが…とにかくコワイ。手繰っていくと根は同じ。
個人的評価:★★★★★★★★☆☆ 80点
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2016年01月30日公開/107分/日本/映倫:G
監督:中村義洋
出演:竹内結子 橋本愛 滝藤賢一 佐々木蔵之介 坂口健太郎

<あらすじ>
ミステリー小説家である私(竹内結子)に、読者の女子大生・久保さん(橋本愛)から自分が住んでいる部屋で変な音がするという手紙が届く。早速二人で調べてみると、そのマンションに以前住んでいた人々が自殺や心中、殺人などの事件を起こしていたことが判明。久保さんの部屋で生じる音の正体、そして一連の事件の謎について調査していくうちに、予想だにしなかった事実がわかり……。
(以上シネマトゥデイより)

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穢れ=不浄。汚れ。
死・出産・疫病・失火・悪行などによって生じ、災いや罪をもたらすとされる。

この冒頭で示される一文がすごくわかりやすいと思いました。
まさにこの通り「死・出産・疫病・失火・悪行」によって土地の人間たちは死んでいたのです。本作はこの【穢れ】を探っていくというストーリー。
怪奇現象の原因をわりと理屈っぽく追究していきます。オバケ屋敷的なビックリ描写はほとんどなく、ひたすら厭な怪談話が坦々と続いていく感じ。

久々にJホラーらしいJホラーだなあ、というのが第一印象。大筋の作りは『リング』よりも『コワすぎ!』に近い感じがしました。特徴としては主人公の語りの量が非常に多い映画なのですが、作家が取材した記録というルポ形式を取っているためそこへの不快感はありませんでした(竹内結子の話し方が若干嘘くさいとかはありましたけど)。いつも通り原作未読の感想です。

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2012年5月、すべての始まりとなる手紙が主人公・私(という役名)に届きます。
物語上の現在は2013年で、文章を執筆しているのは2016年(?)と、ちょっとややこしい時系列。まあ、そこは前後関係だけ理解できればそんなに重要でもないので苦にはならないと思います。

差出人は都内の大学で建築デザインを学ぶ女子大学生・久保さん(仮名)。彼女は郊外のとある町へと越したばかりで、入居した<岡谷マンション>にて怪奇現象と遭遇。和室で【畳を箒で掃くような音】が聞こえるのだというのです。奇妙な音の原因を探るべく、前半は橋本愛だけで調査を開始。

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調査した結果、何の音だったかというと【首を吊った老婆が着た着物の帯が畳を擦る音】だったのです。ここにはそこまで驚きもないですが、幼い少女にブラブラ揺れる首吊りババアを見せて「ぶらんこ!」と言わせちゃうあたりはちょっと面白かったです。さらに、ウサギのお人形で無邪気に首吊りごっこをする少女。恐怖っていうか、単純に気色悪いし厭味満載。

こんな薄気味悪い部屋すぐにでも引っ越したい!と思いそうですが、久保さんは心霊研究会の部長を務める変わり者。なので、しばらく部屋に住み続け事件の真相へとガンガン首を突っ込んでいきます。
その後は竹内結子とコンビを組み、調査を継続。

ここからは【穢れの歴史】についての(雑な)あらすじです。
久保さん宅から始まって過去に遡っていく構造で、要は土地に根付いた【穢れ】を二人で追及していくんですね。調査方法は関係者へのインタビュー形式。

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<岡谷マンション>
2012年5月、202号室で【畳を箒で掃くような音】が聞こえる。

202号室の前住者・梶川は【赤ん坊の泣き声】に悩まされていた。
→2012年5月19日、梶川が転居先にて首吊り自殺。

2012年秋頃、201号室に越して来た家族が【悪戯電話】に悩まされ転居。
→その後転居先にて一家心中。

2010年7月、405号室で【首を吊った老婆の幽霊】を幼女が目撃していた。

不動産屋に確認したところ、マンションで過去に自殺や死亡事故はない。
(2013年現在)

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<マンション以前>
部屋ごとにおかしいのではなく、マンション自体がおかしい。つまりマンションが建つ以前に自殺があったのだと結論づける。2001年時、岡谷マンションのある土地は駐車場だった。

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<小井戸家>
1991年、独居老人が住んでおり有名なゴミ屋敷だった。

1992年7月、家主の小井戸氏は死後二週間が経ってから死体で発見される。
死因は病死。
家の中で何かを見たために空間をゴミで埋めていた。
「隙間が嫌い」な人だった。

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<高野家>
1987年、妻・トシエが首を吊って自殺。
娘・レイコが堕胎を繰り返した(?)ことが原因。また、床からボコボコ沸いて出る赤ん坊の泣き声に悩まされていた。

根元家の婆さん:縁側に寝そべり床下に話しかけていた。
前住者・川原家の息子:布団に火を点ける、電話をかけまくる等の奇行。

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<中村美佐緒>
1952年、千葉に移り住んで逮捕される以前長屋で生活していた女性。
毎年のように堕胎を繰り返し、胎児を殺していた。
家の床下から赤ん坊の絞殺死体が見つかる。計七体の死体。
供述によると、床下から聞こえる「焼け、殺せ」という声に命じられたという。

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<吉兼家>
吉兼友三郎は明治三十八年、十五歳で発病。
家族に殴りかかり家に火をつけようとして拘束。
以後「怨ミヲ云フ声アリテ。ソレガ焼ケ殺セと命ジル」のだと訴えて暴れることが続き、翌年私宅監置が許可された。
妻・三喜が嫁ぐ際に嫁入り道具として持ってきた婦人図(絵)が原因。


ここからは作家・平岡芳明と心霊マニア・三澤徹夫が仲間に加わり舞台は九州へ。最恐物件観光ツアーin福岡という楽し気な展開になっていきます。
(そんなダサいセリフも名称もないけど)

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<奥山家>(九州・福岡にある三喜の実家)
炭鉱経営をしており、火災があった際に鎮火のため100名以上を見殺しにした。
死んだ労働者たちの怨みによって、絵の顔が歪むように…。
最後の当主は家族を皆殺しにし、その後近くの山で首を吊って死んだ。

<奥山怪談>
奥山家の屋敷は北関東の旅館に移築され、そこの主人が火をつけて全焼。
炭鉱の跡地には現在廃墟となったモーテルがあり、肝試しに入った男性グループが殺傷事件を起こしている。
奥山家の長男は傷害事件を起こし、獄中で首を吊った。
奥山家の欄間を買い取った家が愛知にあるのだが、欄間越しに仏間を覗くと地獄が見えるらしい…。

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<真辺家>(後に奥山家の土地へ住んだ一家)
当主は悪趣味な収集家という噂だった。しかし実際は神にも仏にもすがり、ありとあらゆる手段を尽くして悪霊と戦っていた。それらは何の役にも立たず、最期は日本刀により自殺。

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こうして不幸な連鎖は何十年にも渡って繰り返し起こり続けていたのです。
最初は一部屋のみの怪奇現象だと思っていたものが、マンション全体、前住者の転居先、九州・福岡と、どんどん範囲が広がっていき、【穢れ】の発端(らしきもの)を突き止めたところで主人公たちの【過去を巡る旅】は一応終着します。
なんとなく止め処の無い話なんですよね。掘れば掘るほど何かありそうで…。
恐ろしいとは感じつつも、話が繋がっていく気持ちよさは何度もありました。
そして映画としての説得力もあったと思います。
もしかしたら津山三十人殺しもこんなことが…というような無駄な想像力も掻き立てられて、楽しかったですよ。

その後、久保さんは唯一接したことのある人間が死亡したことで(?)踏ん切りがついたらしく「もうやめませんか」と遅すぎる弱音。
さらに、一度は消えた怪奇音が転居先で再び鳴り始め…。

この話が恐ろしいのは関わった者が全員死んでいくところですよねー。
話しても祟られる。聞いても祟られる。
しかし岡谷マンションの住居者の中には霊と遭遇しない人間もいる。
調査隊のメンバーは映画が終わった後に死んだんでしょうか…。
【穢れ】に触れた人間は死ぬということなのだけど、そこの部分が最後まで曖昧で、それだからこそ恐ろしくもありました。厭な映画ですよ(褒めてます)。

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中村義洋監督はこれまで新作を撮るたびに(キャストなんかに惹かれて)一応観てはいたりはしたのですが、いつもそれほど面白くなくて…。
しかし今回は好きでした、そもそもの題材も良いですし。
キャリア初期はホラー映画ばかり撮っていたようなので、元々こういうのが得意だったんですかね。最高傑作だと思いました!(全部は観てないけど)
じわじわ恐ろしい映画でしたしゾクゾクできるのでオススメです。
ところどころ真実味もありました。

ただ、不満ってほどでもないですがオチだけは「うーん」という感じ。
そこまでが最高だっただけにちょっと興醒めの感もあり…。
終盤に主人公が悪戯電話を取って…っていうところまではよくできた恐怖映画(というか怪談映画)だと思います。でも、その後にも2シーン続くんですよね。
まあ、アメリカ人が好みそうな絶叫描写ですよ。これは要らない!
サービス精神だったんでしょうか…。
怖くもないし、嬉しくもなく、微妙な気持ちになりました。

あとは橋本愛ちゃんがふっくらしてきたなー、と思ったり。
坂口健太郎が今回もニタニタしててサイコー、と思ったり。
日本刀での自害シーンはもっとよく見せてくれ!と思ったり。

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たぶん平山夢明さんがモデル。面白がるツボが鬼畜。

映画『僕だけがいない街』感想。

SF!タイプリープ!母が死ぬ!ということで、ちょっと期待して観ました。
うーん…けっこうヒドい。監督は世紀のゴミ映画『ROOKIES』を撮った方。

個人的評価:★★★☆☆☆☆☆☆☆
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2016年03月19日公開/120分/日本/映倫:G
監督:平川雄一朗
出演:藤原竜也 有村架純 鈴木梨央 及川光博 杉本哲太 石田ゆり子

<あらすじ>
パッとしない漫画家でフリーターの藤沼悟(藤原竜也)は、事件や事故を看破するまで時間がループする現象・再上映(リバイバル)が起きるようになる。何度もリバイバルを経験する中、母が何者かに殺害され彼は突如18年前に戻る。小学生のころに起きた児童連続誘拐殺人事件と母の死の関連に気付いた悟は、過去と現在を行き来しながら事件の真相に迫っていく。
(以上シネマトゥデイより)

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原作漫画は評価も良いみたいですが、まったく読んだことないので映画の感想だけになります。なので、為になるような詳しい考察は一切書いてません!
(本作に対しては悪口多めです、すいません)

【リバイバル】と、主人公が勝手に名付けた(?)現象が起こり過去にタイムスリップしてしまう話です。まあ映画でよくあるタイムリープもので、正直ここには何の新鮮味もありません。問題は設定なんですが、これがわけがわからない!
主人公も現象が発生すると、「またあの現象がやって来た!」とか言っていて偶発的に起こるものらしいんですが、ものすごく都合が良いんですよね。

冒頭から子供がトラックに轢かれそうになります。主人公の藤原竜也がそれを助けて身代わり的に死にそうになるんですが…子供が死んだのかどうか曖昧だし、その助け方もすごく雑というか、咄嗟の判断にしてももうちょっとやり方なかったのかって感じで…スタートから印象は最悪。
ピザのバイクにいきなり突っ込まれた乗用車のほうがカワイソウでしたよ!
それにどうせ助けるんだったら、その前に誰か一人くらい派手に殺しといたほうが映画としてはわかりやすいし面白いと思いました。

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主人公はいつも泣き喚いてる藤原竜也。

ここはたぶん【リバイバル】という現象を手っ取り早く説明するためのシーンなのですが、たいした説明にもなってないし、何のインパクトもないし、音楽のわりにはまったくドラマチックじゃないし、ということで主人公のムダ死に感が強かったです。死を感じた主人公が走馬燈を見ながら「いいのかな、このまま死んじゃって…。まあ、いいか、おれひとりいなくなったって、べつに。」というような愚痴っぽいセリフを吐いてからのタイトルへの流れは強烈にダサい!
怒りとかはなかったんですが、とにかくカッコ悪い演出が目立ちました。

序盤から超悲しげな音楽が流れまくってるので、「悲しくませたくてしょうがない」ことは伝わってきますが、これは邪魔だし不快。
感情移入も何もないうちから「これは泣ける映画だから準備しとけ」とアピールされても、むしろ反撥しちゃいますよ。同時に、短い回想も多いし、メチャクチャ好みじゃない演出ばかりでした。

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ヒロインは苦手になりつつある有村架純。今回も鬱陶しかった!
まず最初に嫌いになったシーンは、夜の道路に立つシーン。単純にバカみたいだったし、クラクションを鳴らされて「おう、危ねえ」とか言ってる彼女の気配りの無さに一気に嫌悪感がこみあげて…ストーリー云々以前にキャラクターがなんとなく好きになれない感じでした。

彼女は藤原竜也が働くピザ屋の同僚なんですが、妙になれなれしいカノジョ面でよく分からない登場。主人公との空気差というか噛み合わなさがとくに狙ったものでもないようで、「なんだこの女」とそればっかり思ってしまいました。中二病っぽい発言も連発で、イタい女にしか見えませんでしたよ!
ラストのカメラ大好きオシャレ女子(?)っていう設定も厭だったし、途中いくつも嫌いになれる瞬間があり、まあ最後までダメでした。
…てことで好感度はゼロ。

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で、主人公は母親(石田ゆり子)を殺されるわけですが…。
まずこの二人が親子に見えません。
しかし第三者に「若く見えますね」と言わせることで強引に息子との年齢差をアピール。頑張ってたんですが、やや無理やりだし、巧い方法とは思えません。キャラの年齢関係が中盤までまったく謎でイライラしました。

見始めて最初の違和感は「主人公は何歳の設定なんだ」ってことですね。
演じているのは藤原竜也というガチのオッサンなので「アラフォーで漫画家志望でピザ屋のバイトかー、泣ける」なんてことを序盤で一瞬感じてしまい、そこの部分にだけは少なからず好感を持っていたのですが、途中でこいつが20代ということが判明。ここに気づくまでは有村架純もクズなフリーターのオヤジに恋する変なヤツという扱いで見ていたので、何かいろいろ裏切られた気分で(勝手に)ムカつきました。基本的な説明描写が抜けてる気もするし、キャストもどうなんだろう…。ハマり役!とはちっとも思えませんでしたが。

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そして、殺される母親。これはいろんな意味で最悪だった。
ここ最近観た邦画の中でもワースト級にツマラナイ死に方。
主人公が過去に戻って頑張るのは彼女を救うことが目的で、つまり動機となる【人死に】なので、ここは絶対に見せ場となるはずだし重要だとも思うんですが、ここは何が何だか分からないうちに気づいたら刺されてた!

パタッと倒れて、え…どうなったの?と思っていると、しばらくして主人公が帰宅後に包丁が背中に刺さっていることがわかります……。
こんなのだったら殺害描写省いて、いきなり死体バーン!と見せたほうが衝撃デカいし復讐心も湧いてきますよ。何のためのシーンだったのかちょっと意味がわかりませんでした。ここ撮るのならせめて包丁が突き刺さるところくらいは見せてほしいし、そうでなければ要らない。
どうしようもなく中途半端なシーンだと思います。

あと、これだけはハッキリ言えるんですけど、石田ゆり子は方言の使い方が超ヘタクソですよね。「~だべ?」連発とかマジでふざけてるようにしか見えないし、方言(北海道弁)がヘタクソな上に標準語はキレイなので余計におかしい。その違和感が邪魔臭いノイズになりました。

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その後、母を刺した犯人を追っているうちに、「俺が犯人にされてしまう!」というわけわからん錯乱状態に陥った藤原竜也は路地裏からわらわら湧いてくる警官たちに追い詰められて、ちょうどいいタイミングでタイムリープ!
「リバイバル!リバイバル!」やたらと言うんですが、その特殊性は映画を観てもいまいちわかりませんでした。全体にラノベっぽい印象も受けました。

とにかく、2006年の現在から18年前の過去に戻る主人公。舞台は北海道。
ここの戻った瞬間はちょっと良かったです、主人公目線の主観映像になるんですね。30秒間だけ『ハードコア・ヘンリー』みたいでテンション上がりましたよ!(ただそれだけ)

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「わかった! なんでここなのか。このリバイバルのスタート地点、それはあの連続誘拐殺人事件で雛月加代が殺される前に戻ったんだ。ひょっとしたら母さんが殺されたことと、雛月の事件は何か関係しているんじゃないのか」

それからは心情セリフを喋りつつ、根拠の薄い推理をバンバン的中させていく展開が続きます。失敗もするんですが、予定調和な失敗に見えてしまうから不思議です。過去と現在を行き来しつつ連続誘拐殺人犯を追う主人公。
一応サスペンスなんですけど、見終わってから感想を書いてしまうと…ホントに犯人に意外性がなくて残念な映画でした。そこが一番ダメだったとも思えます。最初に犯人だと思った人が、結局犯人でした。基本的にひねりのない一本道な脚本だったと思いますよ。

終盤のやりあいは本当に酷いし、「僕だけがいない街」という言葉通りの結末も酷い。主人公が死んでもみんな笑ってて、まったく共感できなかったですね…。でも、なんとなく原作は読んでみたくなりましたー。

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最後はやっぱり喚き散らす藤原竜也。

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『イニシエーション・ラブ』 感想。

酷評です。こんなものを観ている自分がなんかもう嫌になりました。
オチなんですけど、オチの部分が本当に最悪でした。つまらなすぎます。
個人的評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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2015年5月23日公開/110分/日本/映倫:G
監督:堤幸彦
出演:松田翔太 前田敦子 木村文乃 三浦貴大 手塚理美 片岡鶴太郎

ただの愚痴になりそうです。
ファンの人は読まないでください。ネタもバレてます。
読んでも文句とかやめてください。怖いです。

とにかくこの映画、どんでん返しの映画です。
見どころはラストの5分間だけです。
どんでん返した後は親切な解説もあるので、途中寝てても大丈夫です。
ストーリー(しょうもない恋愛模様)は見終った瞬間にどうでもよくなる感じです。
これを観て、楽しかった!と、なれる気持ちが全然わかりません。
なので、けっこう悪口ばっかり書きます。
生涯ワーストってくらいに嫌いな映画になりそうです。
退屈な映画とか、つまらない映画とか、いっぱいあるんですけど、嫌いな映画ってのはあんまりないんで逆にすごいかもしれないです。
でもけっこうあるんですけどそれも。

とりあえず冒頭で、オチあるよ!どんでん返すよ!ってことをガッツリわからせてくれるんですね、この映画。 もうその時点でだいぶ不快です。そもそも惹句が『最後の5分、全てが覆る。あなたは必ず、2回観る。』でした(これは観終ってから知りました)。

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冒頭にこんなのが出ます。

2度と観たくないです、本当に。
結局最後にわかりやすいネタバレ検証があるので観返す必要もなかったです。
正直、べつにどんでん返しでもいいんですけど…。
でも、どんでん返しがあるってことをバラしちゃダメじゃないですか?ってことはこの映画に限らず思いますね。
だって、そうなったら、もう驚かないですよ。
どんでん返ることを予期していてどんでん返っても…。驚きよりも納得に近くなる気がします。「そうか、なるほど、へー」というふうになりますよ、ぼくの場合は(場合にもよりますが)。
そこの部分がよくできてると思えれば成功な気もしますが、そうじゃなければ、やっぱりガッカリするだけです。この映画には、ムカついただけでした。製作側の悪意すら感じました。こういうのを本当に楽しませようと思って撮っているなら絶望的な気持ちになってきます。

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最初30分はこのデブが主人公(リアルなブス)

『シックス・センス』と比較してる人がいるかいないか知らないですけど、全然違うと思います。『シックス・センス』はあのどんでん返しが最高ですけど、たとえそれが無くても面白いですよ(死人がいっぱい出るから)。『ファイト・クラブ』も『スティング』も『サイコ』だってどんでん返しのラストが最高なんですけど、それ以外の部分もずっと面白いです(全部暴力の映画だし)。
『イニシエーション・ラブ(映画版)』は違います。オチだけの映画です。オチ以外はどうしようもないシーンの連続です(決して主演二人が嫌いとかじゃないですけどこういう映画に出続けてると嫌いになりますし今のところ前野朋哉くんのほうが好きです)。
オチがあるというただ一点のためにどうだっていい恋愛のごたごただって気力を保って観れるんですが、そのためだけに組み立てたような話なんて観ていても面白くないし巧妙なギミック?伏線?も、すごい!とはなりません。本編に+aとしての予期せぬ結末があるというよりはオチありきで話を練ってる感じが見え見えです。というか、あれでムカつかない人がいて絶賛してたりするのが本当に不思議になります。

原作を書いた人はすごいんだと思います。考えたもん勝ちみたいな話なんで、とくに言いたいこともないです(読んでないし)。でも映画の製作者たちには気持ち悪さしか感じません。オチ以外の部分がつまらなすぎます。主演二人のファン(または原作ファン)だったらあんなダラダラした話でも観れるのかもしれませんけど、そうじゃなければ地獄ですよ。人は死なないし、木村文乃は脱がないし、退屈すぎますマジで。
じゃあ観るのやめろって話なんですけど、オチが気になって観たくなる…ってところが作り手側の戦略で、そこもまた厭味な感じです。最後まで観てしまった時点でなんだかよくわからない敗北感がすごいです。

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ラストのネタばらしでようやく年号

どうでもいいけど(もう全文どうでもいいけど)観てる間本当に何度も思ったのは「○月○日」って何回も出るんだけど、今はいったい何年なんだよ!ってことですね。その部分でけっこういらいらしました。
A面(デブパート)では80年代の死ぬほどダサい流行りものがしつこいくらいに登場します。B面(松田パート)ではそのあたりの小道具は(都合よく)排除されています…なので日付が出る度に、今って何年?というイライラした感情がずっとつきまといました。
観ている途中オチの部分を具体的に予想したりもしなかったんですけど、これ見よがしにしつこく日付が何度も何度も出てくるもんだから、時系列変えてんだろうなーぐらいはなんとなく思いました。あの部分をもっとうまく見せてればこんなことにならなかったような気もします。そこは、まあ観てれば察しがつくところなんですけど。重要なのはそこじゃないんですよねたぶん。

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問題のランニングの悪意ある編集

上の画像は、デブが「ぼく痩せる!」と言って走り始めるシーンです。
ここで走るデブに映像が重なり、細い足と細い体の松田翔太に変わります。
靴も汚れ、時間が経過して痩せたのだな…と思うところです。
パッと見、二人はどう見ても別人です。顔も体形もまったく違います。
どう考えても別人にしか見えません。
それでもこのシーンがあることによって、同一人物だと思わされます。
よくある古典的な映像のトリックです。
ぶっちゃけ、ここが騙しなんですね。
ラストで、実は二人は別人でした!となるんですけど、じゃあこのシーンなんだったんだよって思いました。要するに、これはただの罠です。
初見でも穿った見方をすれば予想できた人もいるんじゃないかと思います。
自分は疑いもせずに流してました。
素直に受け入れて騙されました(本当にいやになる)。
そして、どんでん返しってそんなことなのかと、ラストで唖然としました。
映画の嘘であるその前提の部分を否定してからの…どんでん返し!なので余計に腹も立ってきます。観客の思い込みを逆手に取って(?)みたいなつもりだったんですかね。そういう部分を疑って観せるための冒頭の宣言だったんでしょうけど…。
途中から楽しむ気もなくなってました。早く終わんないかなってことばっかり考えてました。もうこの映画、途中のストーリーとか本当にどうでもいいです。演技がどうとかキャラクターの心情がとか演出とか音とかカットとか、本当にどうでもいいです。
身もふたもないことを書くと、これはいったい誰目線の話なんだよ!と思ってしまいました(でぶから松田なんだけど)。故意に誤解が生まれるような悪意ある繋ぎ方をしている誰か(神?)に対しての憤りがすごいです。気味悪くもなってきます。
エンドロールのどうでもいい80年代図鑑も本当に興味がないし、80年代とか知らないです。もういいかげん飽きました。誰が悪いって、やっぱり監督の堤幸彦がすごすぎるんだと思います。
噂には聞いてましたが、本当にすごい監督です。ほとんど作品も観たことありませんでした。思い知りました。この映画が堤幸彦への通過儀礼なのならば、もうこの一本でうんざりです。
日本映画を観るのが最近ちょっとつらくなってきました。

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オチ。


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